【rtrt】不安症の彼 (ページ19)

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１９。ページ19

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「それで…不安になってしまって…あれ、ごめんなさい…ッ、泣くつもりじゃ…」

昼間の蕎麦屋でする話じゃなかった。それでもひとりで悩んでいた重荷が軽くなったようで少しだけホッとする。

「レトさんに限って、浮気なんてないよ」

「……そう、ですよね」

私だってそう思いたい。彼の愛情深さを信頼してきた分、不信感を持っている自分とそんな素振りを見せる彼に戸惑いが隠せないのだ。

ハンカチで涙を拭い、笑顔を作り顔を上げると、キヨくんは俯きながら私に聞こえない声量で何かをつぶやいた。

「え？」

「…ッ俺なら、俺ならさ。Aさんのこと！」

私の顔を見て、何かハッとしたのかなんでもないと首を振っている。

私のこと…？なにを言いかけたのか、頑なに教えてくれなかった。

「今日のことは誰にも言わないし、それとなくレトさんに聞いてみるから」

そう言ってくれたキヨくんが今だけ女神に見える。私を安心させるために、何度も大丈夫だって！心配すんな！といつもの話し声で慰めてくれた。

きっと相談されることに慣れていないんだろうなと思いながら、その優しさに甘えていた。

「ありがとうございます。キヨくん、やっぱり優しいんですね」

「そりゃ、友達想いで評判のキヨだからねー」

「ふふ、そうだったんですか」

友達。仕事仲間じゃなくて、友達と呼んでくれたことが嬉しかったのは私だけの秘密。

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