13。 ページ13
.
「あー、まじで気疲れしたわ」
「生6つお願いしまーす!」
「ガッチさん相変わらず頼むのはえ〜」
レトくんが遅刻した以外のハプニングは特に起こらず、無事に打ち合わせを終えて居酒屋に来た。ガッチさんは奥さんに子供達をお願いしてきたからと、今日は存分に飲むぞー!と意気込んでいる。
「Aちゃん、何食べる?」
「あ、うん…唐揚げとピザ食べたいな」
出来るだけみんなで取り分けて食べれる物をお願いする。隣にいるレトくんから香った甘い匂いが今もまだ頭にこびりついていた。
「「「「「カンパーイ!」」」」」
みんな疲れていたのか急ピッチでお酒を飲み進める。対照的に私は食欲もなく、ゆっくりと飲んでいた。心のモヤモヤがまた大きくなる。
「ほんとにキャスティング謎だよね」
「多分だけど……スタッフが俺のファンとか?」
「真面目な顔して言うな」
みんなが楽しそうにしているのに、私はどうしても耐えられず、トイレ行くねとレトくんに声をかけて静かに席を立った。彼は勘がいいから、心配されてしまったかもと少し不安になる。
外の空気に当たろうと、表に出ると太陽が今にも沈むところだった。少し歩いたところにあるベンチに座って、見えなくなった太陽を目で追う。
「…なんで泣いてんの」
.
205人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぴより | 作成日時:2019年10月20日 7時