虹 (ページ50)

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第50話ページ50

ｼﾙｸ「お～きてお～きて～、A～、お～き～て～」

『…いたい』

昨夜はシルクの実家に泊まり、シルクの謎の歌と太鼓のように叩かれる振動で目が覚めた。
キッチンからシルクの母の呼ぶ声が聞こえ、寝癖を付けたまま一階に降りていく。

『ふぁ～あ…眠……』

ｼﾙｸ「今日の朝飯豪華じゃね？何で？」

「Aが来てるからだと。お前ら先顔洗ってこい」

既に食卓に着席するシルク兄が言った。
二人揃って洗面所に向かう背中を、シルクの母は軽く笑って二人の箸を並べる。

ｼﾙｸ「A今日どうすんの？」

『帰って編集』

ｼﾙｸ「ふぅん」

『シルクは？』

ｼﾙｸ「今日は久々にジム行こうかなって」

これからの予定を話終わった後、食事も終わり、シルクの家族に挨拶をして帰宅する。
コンビニに寄って買い物をし、歩いていると電話が鳴った。
画面を確認すると同じくこの休みに実家に帰っているンダホからで、通話に出ると慌てた上に若干泣き声のンダホ。

ﾝﾀﾞﾎ「ちゅん～…」

『どした』

ﾝﾀﾞﾎ「どーしよ…」

『何が？』

何かと問うが焦っているのか中々言ってくれない。
終いには鼻を啜る音まで聞こえ只事ではないと察した。

『ダホ？泣いてちゃ分かんねーよ』

ﾝﾀﾞﾎ「絶対怒んない…？」

『内容による』

ﾝﾀﾞﾎ「ん～…」

『子供かお前は。分かった分かった、ちゃんと話聞くから言ってみ』

ﾝﾀﾞﾎ「……カメラ壊した」

『は？』

ﾝﾀﾞﾎ「シルクん家のカメラ、壊れちゃった」