第35話 ページ35
急な寒気に襲われ目が覚めたのは早朝四時。
梅雨も明け着々と夏の色が濃くなっているにも関わらず、何故か震える程感じる寒気。
加えて何もしていないのに刺さる様な痛さの喉、息もできない程の鼻詰まり。
その症状で全てを理解した。これは風邪だ。
熱はまだ無さそうだが、冷蔵庫に入れられたような寒さが続き中々眠れない。
本当は今日、メンバー全員で海へ行く予定だった。
昨夜にシルクと｢明日はちゃんと起きろよ｣と電話をしたのに。
『…あ、そうだシルク』
驚く程声がガサガサで思わず笑ってしまった。
先にシルクに連絡しておこう。
もしかしたら、一般的より睡眠時間が短い彼なら今の時間でも起きているかもしれない。
電話を掛け暫くコールを鳴らしていたら眠そうな声が聞こえた。
ｼﾙｸ「…あい」
『シルク？ごめんこんな時間に』
ｼﾙｸ「……どちら様ですか？」
『Aだよ、』
ｼﾙｸ「A…？何その声」
『熱出ちまった』
ｼﾙｸ「何だとォ！？」
耳元で叫ばれ思わず携帯を離す。
痛々しい咳を聞いて「マジか…」と零すシルクを他所に、段々と怠くなる体と押し寄せる睡魔。
『そーいう事なんで、ごめん今日行けない』
ｼﾙｸ「良いけど、え？マジ大丈夫？」
『わﾞかﾞらﾞんﾞ』
ｼﾙｸ「今から家行くか？しんどいだろ？」
『いや、いい』
ｼﾙｸ「良くない良くない、目覚めたし何か買ってくわ」
『…んﾞー………うん、』
携帯の向こうでシルクが呼ぶ声にも反応出来ず、睡魔に負けて寝落ちてしまった。
ただの寝落ちとは知らないシルクは急に倒れたと勘違いし、急いで支度して向かう。
以前Aから預かった合鍵で中へと入った。
こういう時ほど家が近くてよかったと思う事は無い。
寝室のドアを開けると携帯を握ったまま眠るAの姿を発見し、安堵の溜息を漏らした。
ｼﾙｸ「寝てるだけかよ…焦った」
額に触れてみると思ったよりの熱らしく、何かないものかと探すも、普段は怪我をしたり体調を崩したりしないので体温計しか見付からなかった。
とりあえずメンバーに連絡を入れ、こんな早朝では店なんかやっているはずもないのでフェイスタオルを濡らして額に当てた。
ｼﾙｸ「どうすっかな今日」
メンバーもAが居ないのなら行かないと言うだろうし、全員が揃う機会もまだ他にある。
ならば動画組と看病組に別れて行動でいいだろう。
今は時間も時間なのでもう一度眠る事にする。
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作者名：憐
| 作成日時：2018年3月26日 0時
