第28話 ページ28
タイアップ動画は視聴者にも企業先にも好評だった。
あれから商品の売上も伸びたそうで、お礼の品と共に感謝状も届いた。
その成功を祝うプチ打ち上げで、シルク、モトキ、ンダホ、マサイ、Aは駅近くの居酒屋で飲んでいた。
既に全員酔いモード。いつも以上に騒がしい。
ｼﾙｸ「うー…飲み過ぎた。帰るかそろそろ」
ﾏｻｲ「おーい、A起きろーい」
ﾓﾄｷ「ンダホ起きてる？帰るよ」
ﾝﾀﾞﾎ「起きてるよぉ」
数名はフラフラとした足取りで、まだ自我がしっかりしているシルクとモトキがお会計をする。
マサイは酔いと睡魔でフラフラなAの肩を担ぎ、ンダホと外で二人を待機する。
ﾏｻｲ「お前家帰れっか？」
ﾝﾀﾞﾎ「帰れる…」
ﾏｻｲ「無理だな」
『あれぇ、もうお開き？』
ﾏｻｲ「散々飲んだろ」
『足りないよまだ』
適当に酔っ払いの話を聞き流し、ンダホと世間話をしていると一度聞いた事がある声がした。
その声にマサイとンダホの酔いは一気に醒める。
「あれぇ！？ことりちゃん達じゃん！」
「うわ、Fischer's！やば！」
「なになに？飲んでたの？」
この間兄クロードに絡んでいたヤンキー達だった。向こうも酔っているのか一段と鬱陶しい。
ンダホとマサイは半分寝てしまっているAの少し前に出る。
グループの一人が中学時代にAをからかっていた人物だからだ。
「ンダホマジでけぇじゃん」
「マサイ超かっこいいー」
「ことりちゃん潰れちゃってんの？タクシー呼ぼっかぁ？」
ﾏｻｲ「いい、近寄るな」
｢あ？｣
マサイの冷たく放った一言に反応するヤンキー達。
まずい、とンダホは慌ててマサイを落ち着かせフォローを入れながら横目で店の中の様子を見るが、シルク達はトイレに向かったようだ。
「ちょっとこっち来いよテメェら」
ﾏｻｲ「無理」
ﾝﾀﾞﾎ「待って待って、落ち着こう。今のはマサイが悪いよね」
ﾏｻｲ「は？こいつらが絡んで来るからだろ」
「相変わらずだなお前等は本当、ことりちゃんの方がまだ素直だわ」
プツンと二人の何かが切れた。
Aは｢ことりちゃん｣では無いし、素直だった訳でも無い。逆らえばどうなるかを知っていたから大人しくしていただけだ。
ンダホが柄にも無く男の胸倉を掴むと誰かが仲裁に入った。
『喧嘩はよくないよ、君達』
ﾏｻｲ「ちゅん？」
『ンダホもダメだよ手ぇ出しちゃ』
状況を知ってか知らずか、酔いでニコニコとしたまま、ンダホの腕を掴んだ。
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作者名：憐
| 作成日時：2018年3月26日 0時
