虹 (ページ22)

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第22話ページ22

『………暑い』

桜も散り、雨が多くなる六月。
天気予報では梅雨入りを発表し、太陽の顔もそろそろ恋しくなってきた。湿気がある暑さは好きでは無い。
それ以前に、夏は嫌いだ。
今は自宅でパソコン作業中。
電気代節約の為に客人が居ない時はエアコンも扇風機も消してある。
あと数分したら事務所へ向かわなければいけない。
次のタイアップ動画の打ち合わせを企業者と行う。
最近はシルクやマサイ達の代わりに、こういった裏方の仕事ばかりで動画も頻繁に出ることは無く、Fischer'sのマネージャーのような立ち位置になった。

『…あ、やべ、』

時計を見て支度をし、事務所へ。
自宅より断然涼しい事務所で汗も直ぐに乾く。
タイアップ相手が到着するまで事務所をうろうろしていると、聞き慣れた声がした。

『あれ？お前ら居たの？』

ｼﾙｸ「あれ！？今日予定あるんじゃねーの！？」

『いやあるよ、今から会議』

ｼﾙｸ「会議か…悪いな何時も。皆でやるべきなのに」

『好きでやってっからいいんだよ』

夏に向けて予定が詰め詰めな為、今のうちに分担して消費していきたいと皆で話し合った結果だ。
シルク達は今、雑誌の撮影中だったらしくメイクや髪をセットして貰いお洒落な格好だった。
一方のAは、事務作業途中で出てきた為髪もボサボサ、服装もラフな動きやすい服。

『なんか、俺恥ずかしいな』

ｼﾙｸ「何で？見慣れてるから違和感ねーよ」

『…髪ぐらいセットしてから来よう、これから』

企業先の人が到着したと言われ急ぎ気味で会議室に戻る。
後ろから聞こえるシルク達の笑い声が妙に頭に響いた。