虹 (ページ3)

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第3話ページ3

数日後、Aは晴れてブラックな会社を退職。
今まで仕事で忙しい日々を送っていたので、いきなり時間に余裕が出来るとどうしていいか分からなくなる。
ゴロゴロとしながら未だに仕事の事を考えてしまうAを見て、動画編集中だったシルクはパソコンへ目線はそのままに、Aに｢どうしたの｣と声を掛けた。

ｼﾙｸ「社畜ってなかなか直らないものねー」

『オカマ止めろ』

Aと話をしていると突然インターホンが鳴り、作業の手を止めシルクが玄関へ向かう。
玄関から喋る声が近付いて来て、客人はリビングで寝そべるAを見て一時停止した。

「ちゅーん！！」

『ん？あ！マサァイ！！』

現れたのはFischer'sメンバーマサイ。
シルクと同じマンションに住んでいるそうで、呼ばれて来たと言う。
彼に会うのも勿論1年ぶり。

ﾏｻｲ「え？仕事は？｣

ｼﾙｸ「俺が辞めさした」

ﾏｻｲ「は！？」

『仕事辞めちゃった』

語弊を生んだシルクの言い方と仕事を辞めた驚きで目を見開く。
ちゃんと事情を改めて説明しマサイは苦い顔をして何度も頷いた。
話が分かってくれる男で良かったと安堵する。

ﾏｻｲ「とりあえず…おかえり」

『ただいま』

ﾏｻｲ「でも俺達さ、わりと連絡してたよな」

ｼﾙｸ「え？マジ？」

『あー、うん。ぺけの歌の編集は偶に俺がやる』

ｼﾙｸ「え！？マジ！？」

『そういうの好きだから』

ｼﾙｸ「聞いてねえ！！」

『言ってねえ』

マサイやシルク程ではないが、Aも動画は作れる。
ぺけたんとンダホいうFischer'sの歌唱メンバーの歌ってみた動画は、仕事の合間に余裕があると編集していた。
パソコンを触るのは意外と好きで、高校生の時に簡単なゲームを作ってみたり、知識はそれなりにある。

ｼﾙｸ｢マサイも来たし、動画撮るか｣

『ダホ達は？』

ｼﾙｸ「後から来るよ」

『ふぅん…』

カメラをセットしながらシルクが答えた。
準備が整いマサイとシルクがカメラ前に座って、合図が出たらAが録画ボタンを押す。
久し振りにカメラの前に立つと意識すれば、少しだけ緊張し始めた。