虹 (ページ11)

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第11話ページ11

無事目当ての物を購入し、再びタクシーに乗っての帰宅途中、マサイの携帯が鳴った。
シルクからの電話らしく、撮影の話かと直ぐに出た。

ﾏｻｲ「はぁい」

ｼﾙｸ「お前ら今何処？」

ﾏｻｲ「もうすぐ帰るけど」

ｼﾙｸ「あ、そ。別に用はないんだけど」

ﾏｻｲ「じゃあ何の電話だよこれ」

ｼﾙｸ「いや…兄貴から連絡あって、さっき」

ﾏｻｲ「あぁー、大丈夫大丈夫」

ｼﾙｸ「ちゅんも？」

ﾏｻｲ「うん、平気」

ｼﾙｸ「なら良かった」

先程絡まれた連中に心当たりのあるシルクは、兄から話を聞いてからずっと心配していたようだ。
今からは何も用事がないという事で、購入品も見せろと言うのでシルク宅へ向かった。
今日半日は編集日となっているのでまだ誰も居ない。
タイピング音しか聞こえない程静かな空間での作業に疲れて伸びをする。

『ずっと編集してんの？』

ｼﾙｸ「してるー、今日間に合えばいいけど」

ﾏｻｲ「あ、この間のアホほど笑ったやつじゃん」

ｼﾙｸ「そうなんだよ、編集中も一人で笑ってた」

シルクが編集し、それをAが覗き込む光景を、マサイは暇潰しにカメラを回す。
ニヨニヨと自分で撮った動画を笑いながら編集するシルクとは反対に、シルクの編集作業を勉強のつもりで真剣な眼差しをして見るA。
表情に差があり過ぎて少し面白い。
暫くして、シルクもその真剣な表情に気付いたのか悪戯心が現れいきなりAに飛び掛り驚かした。
案の定Aは後ろへ倒れ、シルクからの怒涛の擽り。

『えっ、なにっ！？やめろバカ！編集は！？』

ｼﾙｸ「もう疲れたから休憩～」

『何だよそれ！つーかこいつ全然退かない！助けてマサイー！』

ﾏｻｲ「今セカンダリ撮ってっから頑張れ」

『ふざっけんな、死ぬ！あははっ！笑い死ぬ！』

じゃれるシルクを力が強過ぎて退かす事も出来ず背中をバシバシ叩く。
抱き締められ、わしゃわしゃと頭を撫でてきたと思ったら、動きが止まりカメラに拾われないような小声でそっと｢…良かった｣と呟いた。