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伍拾壱 ページ10

「……あ、俺……A、様…?」

『呼んだ?』

「うわぁっっ!!?!」



呪霊が祓われた薄気味悪い屋敷の縁側で、椿は目を覚ました。頭部と腹部にあった痛みは既に消えており、主人であるAに手間をかけさせた罪悪感に苛まれる。



「申し訳ありません…」

『何がだ?』

「俺が、弱、くって……」



嗚咽にも近い声を喉から出す。その隣で、Aは椿を見つめてから呆れたように息をついた。





『……そうだな、お前は弱い。
非力だし、呪力も天狐と比べて遥かに少ないし、術式も猫魈と比べて制御が効かないし大して使えない。場数も経験も無い。

私の足元以前に、同じ土俵にすら立てない』


「っ…」



容赦の無い言葉のナイフに、椿は俯く。自分は弱い。その事実を突きつけられ、改めて罪悪感や劣等感が沸々と湧いた。

そんな椿に目もくれず、Aは続けて言葉を紡ぐ。



『正直、お前を上層部に突き出しても良かったんだ。椿のような呪霊人間は、呪術界で良い被験体になる。お前を引き渡せば、呪術界に貢献したとして恩賞も貰えただろうな。』

「えっ」



椿はじろり、と自身を見たAに身を竦める。深淵のように奥の見えないその目に、自分は弱いからA様に見捨てられるのではないか、という不安がよぎった。



『…ンな顔するな。冗談だ。本当に思ってたら、今頃お前は監 禁されていた。体液や体の一部を搾取され、術式を研究され、被験体として実験を行われ、最後には殺される。

…私がお前を傍に置く事にしたのは、己の信条に則っただけだ。椿はまだまだ崖っぷち。強くならなきゃすぐ落ちる。
強くなれ、椿。お前には強〜い味方がついてるんだからな』


ポン、と椿の黒髪の頭に手を置き、そのまま撫でつける。椿は涙の溜まった目を擦り、はい!と勢いよく返事した。


『よし、酒買って帰るか』

「はい!」

【読まなくてもいい解説的な何か】Part.3→←伍拾



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設定タグ:呪術廻戦 , 愛され(?) , 見切り発車   
作品ジャンル:ファンタジー
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うさちゃん(プロフ) - ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"好きです!だいすこ。続き楽しみに待ってます (3月27日 11時) (レス) @page42 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
ファナやん - おもしろいです!可能なら原作軸や懐玉編もみたいです! (9月10日 15時) (レス) id: 3812986166 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - 面白すぎて何回も見返してます!更新再開してほしいです…頑張ってください!! (8月7日 14時) (レス) @page42 id: d3fb5e7475 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - コメント失礼します!私愛され大好物なので嬉しいです!呪術廻戦のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (6月24日 10時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
有栖 - めっちゃ面白いです。更新頑張ってください。(*≧∀≦*) (2023年2月5日 15時) (レス) id: e77b6774d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蝋燭 | 作成日時:2021年10月1日 23時

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