生まれ変わっ…え？平安？２【呪術廻戦】

漆拾参 ページ41

Aは残念そうにしつつも、獄門疆を羂索へと放った。羂索もそれを掴み取り、そのまま懐へと仕舞う。

何もかも予定通り。
だからもう、これはいらない。

そう言うかのように、千代の遺書を差し出した。


「君の念願のものだ。受け取るといい」

『言われなくとも』


Aは羂索の手からそれを奪い取る。目の前の男に手を出せない現実に、ただただ苛立ちばかりが募っていた。


「さて……それじゃあ私はお暇させてもらおう」

『あっそ。さっさと出てけ』

「酷いな。私はもう少し君と話していたいというのに」

『お前と話すことは微塵もない。追い出されたいってんなら、話は別だけどな』

「おお怖い。まあ、お互い先は長いんだ。落ち着いたら、一緒にお茶でもしようか」

『ぶっ殺されてぇのか』


ベラベラとくだらないことを垂れる羂索を睨みつけるA。
それでもこの男を殺さないのは、未だ、Aの心の内には迷いがあったからだ。


「じゃ、また…何百年後になるかはわからないが、会えるといいね」

『馬鹿言え、これが最後だ』

「連れないな」


よっこらせと立ち上がる奴の姿を睨めつけつつも、その目は別のものを見ていた────。

漆拾肆→←漆拾弐

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す