生まれ変わっ…え？平安？２【呪術廻戦】

陸拾陸 ページ34

私は紙切れを手に取る。紙は内側が見えないよう、二つ折りにされていた。


ただのメモか、それとも別のものか。特に考えることも無く紙を開き、その中に書いてあった言葉に私は目を見開いた。




″ ありがとうございました ″




美しい字で綴られたそんな文字は、どこか見覚えのある筆跡だった。すぐに考えれば分かることなのに、私の思考はわざわざ記憶を辿り、ああ、と納得する。




『………ありがとうだなんて、よく言えるな…君は本当に…』




その後の言葉は嗚咽となって続かない。


すまない、すまない。私が君を殺した。君を殺したのは私なのだ。

君はきっと私が謝れば、ケロリと笑って許すんだろう。怒ってませんよ、と心からの甘美な言葉を吐くのだろう。

だがそれではいけない。私が私を許せないのだ。周りを殺めておきながら、自分だけのうのうと生き残る。そんなもの私にとっては生き地獄に等しいのだ。



どうか、私を許さないでくれ。私に償いの機会を与えないでくれ。



ひとしきり涙を流した私は、布団に入ると、死んだように眠りについた。

心は少しだけ、軽くなっていた。

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