伍拾捌 ページ24
「確かに日を改めて欲しいところですが……貴女はそういう訳では無さそうだ」
加茂憲倫……羂索は焦っていた。
実の所、ここに不死鳥が居る事は余りにも想定外だった。まさか偶然見つけた特異体質の女が、あの宵薙Aのお気に入りだったとは。
いくら呪胎九相図が作れようとも、その価値は不死鳥に目をつけられたというだけで全てが覆される。この女の怒りに比べれば、呪胎九相図の力や可能性は地面に転がる蛆虫程でしかない。
(……いや、まだ対不死鳥用の″アレ″がある。それを試す良い機会かもしれない)
懐にしまってあるソレを一瞥する。不死鳥の攻撃はどんな状況であろうと避けられないだろう……そんな時の為に用意した、羂索の奥の手だった。
『そうだな。悪いが私はお前を殺さないと腹の虫が収まらないんだ』
ゆっくりと、だが狙いを定めてAは術式の構えを取る。腸が煮えくり返るような怒りを呪力に変え、指先に集中させる。
地下のこもった空気が、刺すような…いや、それ以上の殺気に覆われる。ただ呪力を操作しているだけであるというのに、Aの体から溢れる呪力が空間を圧する。
まるで天変地異の前触れだ、とAの後ろで守られている千代は呆然と思う。それ程までに宵薙Aという存在は、ここにいるもの全てを圧倒していた。
『───極の番【天誅】』
たった一つの呟きで、天災の塊が放たれる。眩い白銀の光が、諸悪の権化たる男へと飛ぶ。高度な呪力操作と底無しの呪力によるその出力、正に神業！ 食物連鎖の頂に立つ女の怒りは、神の領域にすら到達する！
これが不死鳥！！ これが生ける伝説！！ 眼前の死すら気にせず、羂索は感動に打ち震えた。
そして地に足をつけた神の手によって、悪はその身を滅ぼす───
────はずであった。
術式を放った直後、Aの黄金の目に映った光景は加茂憲倫の死体ではない。その刹那見えた未来は、八つ裂きになった千代と余裕げに立つ男───。
『は？』
唖然とした様子で間抜けな声を出すA。
その瞬間、Aの視界は白銀の光に覆われた。不死鳥の如き赤い翼が、空を飛び散った。
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うさちゃん(プロフ) - ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"好きです！だいすこ。続き楽しみに待ってます (3月27日 11時) (
レス) @page42 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
ファナやん - おもしろいです!可能なら原作軸や懐玉編もみたいです! (9月10日 15時) (レス) id: 3812986166 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - 面白すぎて何回も見返してます！更新再開してほしいです…頑張ってください！！ (8月7日 14時) (レス) @page42 id: d3fb5e7475 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - コメント失礼します！私愛され大好物なので嬉しいです！呪術廻戦のキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってください！ (6月24日 10時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
有栖 - めっちゃ面白いです。更新頑張ってください。(*≧∀≦*) (2023年2月5日 15時) (レス) id: e77b6774d0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蝋燭 | 作成日時：2021年10月1日 23時
