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卌肆 ページ3

猫魈の術式で出来た空間を繋げる裂け目を通る。

そこは鬱蒼とした森の中で、すぐ近くに大きな断崖があった。眼球から流れる呪力と同じそれを感じ、源を探る。


断崖の方を探索していれば、ひとつの洞穴を見つけた。


『あー』


洞穴の中に向かって声を出せば、「あー」という音が暗闇によく響いた。かなり深い洞穴のようだ。

先から呪力を感じ、一旦天狐と猫魈を影に潜ませる。


影の中から手燭を取り出し、火をつけた。洞穴はかなり広く奥が深い。蝋燭の光だけでは少し心許ないが、まあ大丈夫だろう。

そう思い、暗闇に足を踏み入れた。





滴り落ちる水音と、草履の足音が空間に響く。

暫くすると、眼球と同じ呪力が濃くなってきた。


ふと、少し先に気配を感じる。



『そこに誰かいるのか?』



手燭を奥へ突き出してそう言えば、後退さるような音が聞こえる。



「Не приходите! это опасно!」

『は?』



えっ、今なんて言ったの…?わ、分かんねぇ…言語の壁を忘れてた!!!!

やべぇ…ロシア語かな?分かんないよォ……!



『えぇと……そっち、行ってもいいか?』

「Не приходи, ты тоже можешь пострадать!」

『えぇ……?』



このままでは埒が明かない。

そう思い、私は声の主の方へ近付いた。


手燭の灯りがその人影を照らし出す。

そこに居たのは目元を手で覆った黒い髪の男。生まれたままの姿の男からは、眼球と同じ呪力が感じられた。


私が一歩踏み出す度に、男は後退る。

本当に受肉体か?あまりにも呪霊らしくない。ただの非術師にも見える。


そんな疑念は、彼の手の隙間から覗かれた眼光によって散らされた。



『ッ?!』



突然、私の顔の左側面が粉々になる。咄嗟に抑えれば、次は手が粉々になった。

男は私の様子に悲鳴をあげ、完全に背を向けて蹲った。私も私で驚いたが、数十秒で顔は再生する。成程、そういう術式か。




「Извините,Извините,Извините……!」

『あー、ホラ。大丈夫だよー、治ったよー』

「?!?!」




彼の呪力を術式で操作し、無効化させたまま私は声をかける。男は私の顔が治っている事と、術式のトリガーとなる目で見ても発動しない事に驚き、再び声にならない悲鳴をあげた。

ロシア語勉強しとけば良かったなぁ。

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設定タグ:呪術廻戦 , 愛され(?) , 見切り発車   
作品ジャンル:ファンタジー
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うさちゃん(プロフ) - ん"ん"ん"ん"ん"ん"ん"好きです!だいすこ。続き楽しみに待ってます (3月27日 11時) (レス) @page42 id: bdc57886de (このIDを非表示/違反報告)
ファナやん - おもしろいです!可能なら原作軸や懐玉編もみたいです! (9月10日 15時) (レス) id: 3812986166 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - 面白すぎて何回も見返してます!更新再開してほしいです…頑張ってください!! (8月7日 14時) (レス) @page42 id: d3fb5e7475 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - コメント失礼します!私愛され大好物なので嬉しいです!呪術廻戦のキャラ全員推しなので嬉しいです!更新頑張ってください! (6月24日 10時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
有栖 - めっちゃ面白いです。更新頑張ってください。(*≧∀≦*) (2023年2月5日 15時) (レス) id: e77b6774d0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蝋燭 | 作成日時:2021年10月1日 23時

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