斑鳩士門 ページ40
久しぶりの買い物デートだというのに、些細な事で喧嘩した。第三者からしたら、そんな事で？と必ず聞き返される様な事だ。私にはとても腹立たしくて、もう知らない！と公共の場で言いそうな程だった。ぐっと堪え、代わりに何も言わずにその場から離れた。
ショッピングモールなので服を見ていようと考えたが、全くと言っていいほど見る気にならなかった。マネキンが着ているものを見ても、わくわく感が沸いてこない。このままぐるぐると歩いていても仕方ないので、近くにある椅子に座った。
館内は沢山の人で賑わっていた。友人、家族、恋人。独りでいる人なんていなかった。独りでいるのは私と彼だけ。
楽しそうに話す、行き交う人の流れを見ていた。なんだか私だけが別の世界から見ているような感覚。交ざる事がない。触れる事すら出来ない。きっとこのまま私が消えても誰も気づかないんだろうな。目の前の光景が羨ましくて、そんな自分が惨めで、目頭が熱くなる。
「全然、来ないなぁ……。」
館内BGM、話し声、足音や物が擦れる音。誰に言うわけでもなく呟いた言葉が、大衆が作り出す雑音に消えていった。
自分がきた道を何度見ても、彼らしい人は見つけられなかった。……戻るか。椅子に沈んでいった腰を上げる。一歩一歩が重い。足に鉛玉でも付いているんじゃないかと思う程だ。引き摺る様に歩き、元の場所に着いたが彼の姿はなかった。
……いや、居たら居たで、なんで探さないんだって怒る。居なかったら別行動って事？ふざけてる。探す気ないじゃん。ムカつく。自分だけ戻って馬鹿みたいじゃん。知らない知らない。あんな奴もう知らない。
「おい。」
また椅子に座ろうと振り返ると、不機嫌オーラ全開の彼がいた。私の方が不機嫌だわ、ばか！
「勝手に居なくなるな。」
そう言うと私の顔に紙袋らしきものを押し当てた。……彼女に対してなんて扱いなの……！ますますムカつく。もう絶対許さないんだから！
「てか、何これ。」
袋を触って中の形を確認する。全然わからん。見当もつかない。開けていいのかわからないけど、袋の口から中を確認したら―――
「！！し、士門これっ！！！」
私がずっと欲しかったものが入ってた。
「……苦情は受け付けない。勝手に居なくなったお前が悪いからな。」
さっきまでの腹立たしさが一気に消えた。代わりに、欲しいものが手に入ったという満足感と彼が私の為にしてくれた、という特別感で溢れていった。
*20170804
挫折した。
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Aris - 天馬の感情がとても可愛いかったです( ^ω^ ) (2021年5月17日 22時) (
レス) id: 07b3866fc0 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 紅兎さん» 紅兎さんありがとうございます(´；д；｀) 以前よりも遅くなってしまいますが更新がんばります！ (2019年12月4日 22時) (レス) id: dd4451f660 (このIDを非表示/違反報告)
紅兎(プロフ) - 主さまのペースで更新頑張ってください！いつまでも待ってます！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 83a25d3fd1 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 夜桜さん» 夜桜さん、コメントありがとうございます。消化頑張ります＞＜ かなり不定期な更新ですが、気長にお待ちいただければと思います！ (2017年12月16日 15時) (レス) id: ec78dea903 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 初めまして！とっても良かったです！リクエストの消化頑張ってください！更新待ってます！ (2017年12月12日 15時) (レス) id: e7a9357e65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤田 | 作成日時：2017年1月17日 23時
