天馬２ ページ39
きっと主は、その事で不機嫌だったのだろう。人間として常識的な事を直ぐ様言えなかった私を指摘してくださったのだ。つまり、指導。十二天将最強の主の許にいるのだ。しっかりとした常識を身につけ、世間で恥じぬようにとしてくださっているに違いない。という事は、今日、主にしか出来ない任務というのは、これ……？主直々にご指導していただけるなんて……！
「分かってねぇな。」
「いえ、今分かりました。今日の主の任務、それは私を立派な常識人にする事です。」
「本当に分かってねぇな。」
はあ、と溜め息を吐く主。
「お前の食いかけを俺は食ってたんだぞ。」
「はい、食べてましたね。」
次はさっきよりも盛大な溜め息が聞こえた。
「………ここの店、マダムに聞いたんだぜ。」
「すばる様？」
確かにすばる様なら色々なカフェを知っていそう。隠れ家から有名店まで。それはもう幅広く。
「ここなら種類も豊富だからって言われてな。味は舌が肥えてるマダムのお墨付きだ。」
「そうなのですね。あ、何故、主はカフェへ行こうと仰ってくださったのですか？任務でしたのに。」
「んん？今日は……鈍感女を振り向かせる任務だからな。」
「その様な任務初めて聞きました。」
「だから、俺にしか出来ねえ特別な任務だっつったろうが。」
「そうでした。では、私はその練習台的な役割でカフェへ誘われたという事でしょうか？」
「任務に練習もねぇだろ。」
鋭い返答があっても核心に辿り着けない私。あぁ……主の考えている事を察せないとは……こんなに鈍感だっただろうか？
「おい、これから覚悟しとけよ。」
右で頬杖をつきながら、左右で色が違う目が私を捉えた。それってつまり―――。
「これから先、どんどんスイーツを食べさせて太らせるからな、って意味でしょうか……？」
ガタンッと音を立てて主の頬杖が消えた。よくお笑い番組で目にするそれと、とてもよく似ていた。
「―――面白れぇ……！」
そう言うと、私の顎を掴み、テーブルの中央部分まで引っ張ってきた。目の前には主のお顔のアップ。まさか、怒らせてしまった……？そんなつもりは全くなかった……。もしかしてこの状況、殴られる……？
「あっ、あの……主―――」
「惚れた女が超ド級の鈍感―――燃えるじゃねぇか。」
そう囁くように言うとパッと手を離し、伝票を持ってレジへと進んでいった。
なんか、心臓が苦しい……。早く食べすぎたのかな……？
*20170729
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Aris - 天馬の感情がとても可愛いかったです( ^ω^ ) (2021年5月17日 22時) (
レス) id: 07b3866fc0 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 紅兎さん» 紅兎さんありがとうございます(´；д；｀) 以前よりも遅くなってしまいますが更新がんばります！ (2019年12月4日 22時) (レス) id: dd4451f660 (このIDを非表示/違反報告)
紅兎(プロフ) - 主さまのペースで更新頑張ってください！いつまでも待ってます！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 83a25d3fd1 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 夜桜さん» 夜桜さん、コメントありがとうございます。消化頑張ります＞＜ かなり不定期な更新ですが、気長にお待ちいただければと思います！ (2017年12月16日 15時) (レス) id: ec78dea903 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 初めまして！とっても良かったです！リクエストの消化頑張ってください！更新待ってます！ (2017年12月12日 15時) (レス) id: e7a9357e65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤田 | 作成日時：2017年1月17日 23時
