天馬１ ページ38
好き、という感情もなければ、嫌い、という感情もなかった。
「行くぞ。」
私の右手を握り、歩き出す。
「どこへ？」
「カフェだ。」
どことなく楽しそうな声音の我主、天馬様。普段から任務づくしの主にとって、カフェに行くという事は、至極楽しみな事なのだろう。というより、カフェとか行くんだなぁと思ってしまった。
「今日はお休みなのですか？」
野暮な質問だとは思うが聞いてみた。
「いや、任務だ。」
それもとっておきのな！と、目を輝かせながら私に言う主。
「……カフェへ行っていいのですか？」
カフェで任務だなんて珍しい事もあるのだなぁ、と一瞬受け入れそうになったのは、ここだけの秘密。
「んん？……まあ、任務っつっても俺にしか出来ねえ特別な任務だからな。いいんだよ。」
そう言うと、歩く速度を上げた。
「さあ、食え！」
テーブルに並べられた沢山のスイーツ。……主は、カフェをお洒落なファミレスという認識でいるのだろうか……？それとも私がカフェの認識を間違えている……？
「食わねぇのか？」
「あ、あの……。」
「俺の奢りだから気にすんなよ。」
逆に気になります、とは言えず、渡されたフォークを受けとり、ひと口食べる。
「美味しい……。」
「だろ？！」
こっちも食え、と別のスイーツを目の前に置かれた。それもひと口食べるとまた別のスイーツを置かれる。その繰り返し。
「一通り食い終わったか。んじゃ、俺が食う番な。」
そう言って、私の食べかけのスイーツを食べ始めた。主がみたらし団子以外の物を口にしている……とても新鮮。
「…………………。」
「……どうしました？」
じっとこちらを見る主。少し眉間に皺を寄せ、不機嫌なご様子……。私、何か粗相をしたのだろうか……？なら、ここは早めに謝罪をしておかなければ。
「…………お前、なんも思わねぇの？」
謝罪をしようとした矢先、主が問いかける。
「えっ、と……何の事でしょう……？」
軽く顎に手を添え、少し考えてから答えた。スイーツの感想は述べたし、任務の件は深追いしていない。あとは―――……あ。
「主がみたらし団子以外の物を口にしている事がとても新鮮だと思っていました。」
「……………は？」
「それから、奢りだと仰っていただいたのにお礼を言っていませんでした。遅ればせながら、ありがとうございます。」
はじめのは心に留めておいてもまだいいと思うが、二つ目は人間としての品性が問われる。良かった、思い出せて。
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Aris - 天馬の感情がとても可愛いかったです( ^ω^ ) (2021年5月17日 22時) (
レス) id: 07b3866fc0 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 紅兎さん» 紅兎さんありがとうございます(´；д；｀) 以前よりも遅くなってしまいますが更新がんばります！ (2019年12月4日 22時) (レス) id: dd4451f660 (このIDを非表示/違反報告)
紅兎(プロフ) - 主さまのペースで更新頑張ってください！いつまでも待ってます！ (2019年12月1日 14時) (レス) id: 83a25d3fd1 (このIDを非表示/違反報告)
藤田(プロフ) - 夜桜さん» 夜桜さん、コメントありがとうございます。消化頑張ります＞＜ かなり不定期な更新ですが、気長にお待ちいただければと思います！ (2017年12月16日 15時) (レス) id: ec78dea903 (このIDを非表示/違反報告)
夜桜 - 初めまして！とっても良かったです！リクエストの消化頑張ってください！更新待ってます！ (2017年12月12日 15時) (レス) id: e7a9357e65 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：藤田 | 作成日時：2017年1月17日 23時
