拗らせ恋。【登坂広臣】１ (ページ21)

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この写真は、私が登坂さんを好きになったきっかけを写したもの。

本人に見られるのは、少し恥ずかしい。

「俺さ、自分から連絡先教えたの、Aが初めて」

『えっ』

「嘘だ。って思ったでしょ？自分から迫ったのも、Aが初めて」

登坂さんは、急にこういうこと言うからびっくりする、まったくの小悪魔。

雰囲気的に、告白されているような気分になる。

『それ、私が登坂さんのこと好きなのちゃんと分かってて言ってます？』

「分かってるよ」

低音ボイスに合わない優しい顔で返される。

分かっててやってるのは、私を勘違いさせたいのか、本気にさせたいのか。

どちらにしてもまったくタチの悪い男だと思う。

「Aは、本気で俺のこと好きなの？」

『好き...ですよ』

「無理やりキスしたのに？」

2人きりでも触れないようにしてた話題を、自ら引っ張ってきた。

＂キス＂という単語に、思わず顔が赤くなるが、バレないよう反対を向く。

『まあ、正直、めっちゃ腹立ちましたけど』

「はは、素直だね」

『...登坂さん、は、初めてじゃないですよね。付き合ってないのにキスするの』

数秒の沈黙。

もしかして地雷踏んだかも、と聞いたことを後悔するが、取り消す前に登坂さんが口を開いた。

「初めてがよかった？」

『、ちょ、っ』

出会って2度目、人生で2度目のキスだった。