拗らせ恋。【登坂広臣】１ (ページ27)

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登坂さんがキッチンに向かい30分。

大丈夫かな？と様子を見に階段をおりると、登坂さんが誰かと電話している声が聞こえた。

「俺さ、やっぱり、このままズルズル続けるのもダメだし、はっきり、美奈子に想い伝えてくる」

「...うん。ありがと、隆二」

何分か話していたが、私の頭には＂美奈子に想い伝えてくる＂という言葉しか残らなかった。

静かに部屋に戻り、何もなかったように布団に入った。

ｺﾝｺﾝ

「だいぶお待たせー」

登坂さんが部屋に入ってくるも、私は返事ができなかった。

きっと今返事をして、優しくされてしまったら、きっともう本当に戻れない。

「...寝てる？」

私が完全に寝てると思ったのか、後はトレーを置く音と部屋を出る音しか聞こえなかった。

そしてまた私も、そのまま眠りについてしまった。

『...おかゆ、冷めちゃってる...』

レンジで温めながら、登坂さんのことを思い出す。

やっぱり、そう簡単に記憶は消えるものではなかった。

prrrr....

一瞬自分のスマホかと思ったが、着信音が全然違う。

登坂さんの忘れ物だと気づき、きっと届けて欲しいという連絡だろうな、と電話に出る。

『...はい』

「え、広臣？」

だがスマホから響いたのは女性の声。

画面に表示された＂美奈子＂の文字に、私は忘れようとしていた昨日のことを思い出した。

この人はきっと

登坂さんの、想い人。