拗らせ恋。【登坂広臣】１ (ページ25)

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. hiroomi side

俺には、3年付き合ってる彼女がいた。

「私、広臣のことずっと好きだった。....私と、付き合ってくれませんか」

美容学校で一緒だった彼女は、俺が芸能界に入った後も変わらずの仲だった。

断る理由なんて見当たらなかった。

「うん、いいよ」

これが、俺の最低な恋のきっかけ。

「広臣、一緒にいても、全然恋人らしくない。本当は、本当に私の事好きなの？

...ほら、何も返せない。もう...別れよ」

こんなことを言い出されたのが、ほんの数ヶ月前。

俺が、Aを知ってからだった。

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神代Aは、モデルになって間もないのに、瞬く間に人を魅了していった。

その時から＂期待の新人クールモデル＂という称号は付いていたみたいで。

当然、俺もそう思っていた。

「ちょ、やめてください、急いでるんです」

「いーじゃあん、ちょっとだけでいいから！遊ぼうよ、お酒1杯でもいいよ」

雨の渋谷の中でも人目につかない場所。

女子高校生とガタイのいいの男のやりとりは、明らかにしつこいナンパ。

助けるか、と傘を降ろしたときだった。

「怖がってるじゃないですか。その手離してあげてください」

「おっ、可愛い子！俺ラッキーだわー」

細身の女の人1人、さすがにかなうわけない。

心配でならずやっぱり俺が行こう、と思ったが、それは全くの杞憂だった。

彼女は携帯を取り出しサイレンの音を響かせた。