フランボワーズは甘酸っぱい2 ページ8
「俺が髭ん家に来たのは、その、り、料理を教えてもらうためだよ……文句あっか、くそッ」
プライド高き英国は、自分の能力の負けを認めるのに抵抗がある様で。
髭ん家と言った辺りで耳から首もとまで真っ赤だった。
「トマトみたいじゃない?」
ぼそりと呟いたイースの一言で、イギリスの顔をしたトマトを想像してしまった。
「イース、それ眉毛トマトってこと?」
「えっ、眉トマ?……不味そう、ていうかトーニョに殴られそう……」
「オイコラ髭この野郎表出ろ」
「理不尽!」
すっ、とイギリスの顔の赤みが引いた。
……フランス、態とかぁ。
イギリスがプライド高いことを知っていて、それで態と彼が――割と普段は単純な彼が――かちん、と来るようなことを言ったんだ。
良く見てんだね、フランスって。
こうしてみると、国って侮れないな。
ふと、頭に浮かぶ情景。
――危ない!
――なんで、何で僕なんか!
――だって、あんたは……。
「A?」
「……えっ、何?」
いけない、また呆けてしまった。
イースの透き通った紫が私の顔を覗き込む。
その紫は、私の胸にちく、と刺さった。
……別に、過去を引きずっている訳じゃない。
そう、自分に言い聞かせた。
「手、震えてる」
公に晒すのを躊躇ったのか、イースは私の耳元で呟いた。
息がかかって、こそばゆい。
と、右手に、熱が伝わる。
ああ、イースが手を重ねたのか。温かい。
イースもイースでよく見てるんだなぁ。
「んー、温かい。……積極的なイースも良いね」
「意味わかんないんだけど」
本当に、イースは褒められることに慣れていないんだ、と実感する。だって、重なった手が少し、反応していたから。目を逸らすところも、それを証明している。可愛い。
その状態のまま、イギリスとフランスの喧嘩を眺めていると、フランスが不意に言った。
「あ、Aちゃん、マカロンどんなのが良い?昨日作ったのがあるから、希望の味があればすぐ出せるけど」
「希望は、無いかなぁ。全部美味しそう」
「そう?……あと、後で少し時間もらっても大丈夫?話したいことがあるからさ」
ふざけた口調ではなくて、私は頷かざるを得なかった。
「フランス」
イースが呼び掛ける。
「Aに手を出したら許さないから」
「え、お兄さんそんなに信頼ないの?」
「当たり前だろ、ざまぁないな、髭」
「イギちゃんは五月蝿いよ」
……仲がよろしいことで。
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今日の国歌
Phleng Chat(タイ)
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ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください! (2022年3月15日 16時) (レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!アイス君可愛いです! (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン@JustinB好き(プロフ) - はじめまして!このお話大好きです!! 更新応援しています!ヾ(*´∀`*)ノ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……!ありがとうございます、励みになります……!! (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます! この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください! ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はとのぱ | 作者ホームページ:http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4
作成日時:2017年2月23日 23時