Давным-давно3 ページ34
※具体的描写は避けてますが、一応流血注意
後に聞いたことだが、“あれ”は単なる国家に対する私怨で、どうしても怒りを抑えられなかったから死ぬことのない彼を狙ったという話らしい。聞けば聞くほど、何故あんなことをしたのか判らない。
「も、モーリェ」
「あー……」
じわじわと腹部から溢れ、滴る莓ソース。どちらかというと、今で言うケチャップ?
まあ私も体は人間であって、死ぬことはなくとも痛い。
胴が熱い。まるで全ての熱が鋭利なこの金属を通してあの男に奪われているみたいだ。
飛び出してきた男は私が庇ったと判ると、奇妙な呻くような声を上げてふらつき、まるでウェディングケーキへの入刀を終えたかのようにゆっくりと金属を引き抜いた。と同時に私も地面に膝をつく。こんなにお腹で脈を感じたのは初めてだ。
一方で男は情けなく、けれど大きく叫び、何度も転びながらその場を走って立ち去っていった。男の行方は誰も知らない──いや、知らないのは私だけかもしれない。
何故なら私は初めて、彼が、イヴァンが、涙を流しているのを見たからだ。何となく私のための涙だと思った。
イヴァンは私を支えると、か細い声で言った。
「なんで、何で僕なんか……!」
ひたりと顔にかかるイヴァンの涙。それは冷たい筈なのに温かく感じてしまった。
「だって、あんたは……」
「イヴァンは、好きな人だからさ」
大きく開かれた紫の瞳。
「……やめてよ!僕、あんなんじゃ死なないよ。心臓ときどき落としちゃうし、車だって頑張れば何とかできるし、ああいう人にもちゃんと対応できるのに!……君が、なんで、そっちの方がよっぽど酷いよ……」
ああ、そうか。
「ごめん……何か、体が勝手に」
「こういう時だけ、後先考えないの、モーリェの悪い癖だよ」
何があっても冷静に。
「だいじょーぶ、すぐに治る」
「判らないじゃないそんなこと!」
感情のままに行動するのはやめよう。
「んー……そしたら、海に連れてって放り込んでほしいなあ」
「馬鹿言わないで!!」
これからは落ち着いて。
「モーリェ?ねえモーリェ、消え……!」
「暫く、海に帰るかも」
「……そ」
もう誰も悲しませない。ごめんイヴァン、君で最後にする。
「ばいばい、イヴァン。」
イヴァンに向かって手を伸ばす。
イヴァンはそれを握ると、
「ばいばいモーリェ。……守ってくれてありがとう」
「僕、もっと強くなるから」
そういうとこです、イヴァン君。
今日の国歌
Phleng Chat(タイ)
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ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください! (2022年3月15日 16時) (レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!アイス君可愛いです! (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン@JustinB好き(プロフ) - はじめまして!このお話大好きです!! 更新応援しています!ヾ(*´∀`*)ノ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……!ありがとうございます、励みになります……!! (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます! この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください! ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はとのぱ | 作者ホームページ:http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4
作成日時:2017年2月23日 23時