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Давным-давно 1 ページ32

「ねぇ、A。電話、大丈夫だったの」
「多分。あーでも、後で厄介なことになるかも」
「えっ」
「その前に、うん。やっぱ大事なこと話しとく」
「え、あ、うん?」

※過去編のため、ロシアさんとの話になっています。

「まだまだ残ってるよ、仕事!」
「モーリェ、ちょっと休ませてよ」

ふう、と大きく溜め息を吐いた彼──ロシアもといモスクワ大公国は、疲れ切った様子で両腕を伸ばした。

ここ最近彼はどうも忙しいらしく、目の下には隈ができ、顔色もいつもの数倍白い。私だって、本当は休んで欲しい。だが、私は彼の上司に特別に滞在を許されている身であり、上司さんからの仕事を蔑ろにすることが出来ない。

「そんなこと言われたって、私にはどうにも出来ないよ」
Мы знаем(判ってるよ)……そうだよね、うーん」
「……15分位、仮眠しなよ。私でもいい仕事はなるべくやっとく」
「ふふ、そうさせてもらうよ」
「早く寝なさい」

私が言い終わる前に、彼は体の力を抜いて目を閉じた。近付いてもいないのに、彼の、色の薄い睫毛がよく見える。それはまるで精巧な作り物のように整っており、とても美しかった。

「……イヴァン」

彼が考えた、彼自身の名前。“僕が彼等の成果を守れるように”と、大公国の皇帝たちの名前と同じにしたらしい。それはそれで紛らわしい気もしたけど、嬉しそうにしてたその顔に負けて、結局そう呼ぶことにした。

何となくイヴァンの寝顔を見ていると、出逢った当時のことが思い出された。

──何してるの?

──家出、っていうか絶縁?

──そう、それなら僕のところに来るといいよ。

肌寒い曇った日だった。曇っていたけど、空気が澄んでいたからか、その雲は──……

「モーリェ」
「うわ、起きてたの」
「何か視線感じたんだ」
「敏感になり過ぎ。ほらほら寝て」

ひらりと手を振って、私はイヴァンを追いやるように寝かせようとする。

「……僕のこと見てたでしょ」
「そんなに仕事したい?」
「わかったわかった」

うふふ、と微笑むイヴァンには、まるでアーサーやローマのようなどこか遠い雰囲気はなくて。

こんな、温かくなるような気持ちもあの二人には抱いたことはなくて。

その微笑みに、頬が熱くなって、胸がきゅっと痛んだことに、私はひとり動揺した。

「……嘘だ」

深く眠ってしまったイヴァンには、きっとこの呟きは届いていない。

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今日の国歌

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作品ジャンル:恋愛
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ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください! (2022年3月15日 16時) (レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
- 初めまして!アイス君可愛いです! (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン@JustinB好き(プロフ) - はじめまして!このお話大好きです!! 更新応援しています!ヾ(*´∀`*)ノ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……!ありがとうございます、励みになります……!! (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます! この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください! ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はとのぱ | 作者ホームページ:http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4  
作成日時:2017年2月23日 23時

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