凶兆の機械音 ページ31
暫くはそのまま他愛もない話が続いた。久々に軽い会話をした気がして、あわよくばこのままの時間がずっと続けば良いのに、そう思いさえした。
それを遮ったのはイースだった。
「A。そういえば、まだ話すことあるんでしょ」
「あー、うん。あるよ」
何と言えば良いのか、彼との思い出は本当に──簡単に言えばキツかった、だろうか。勿論彼が嫌いだとか、そういう意味ではない。
ただ、その時には出会うべきではなかった。きっとそれだけ。
「……A？」
「ん？あ、ごめん。思い出してた」
「きついなら別に……話さなくてもいいよ？」
俯き気味の私の顔を覗き込むように、イースは私を気遣ってくれた。アメシストの瞳が私を射抜く。ああ、それが好きなんだ。その瞳が、なんて。
「ううん、全部話すよ。私のこと知って欲しいから」
小さく深呼吸して、態勢を整える。イースはそれ以上は何も言わず、私を待ってくれているようだった。それはまぁ、パフィンも同じではあるんだけど。
「えっと、ね。それは、イギリスを出てからすぐのことで」
その時、高い機械音が鳴り響いた。
「電話……こんな時にか」
「無視して良いよA」
「いや、私出るよ」
受話器を取って、決まり文句を言う。
「はい。アイスランドの家はこちらです。本人に代わりますか」
小さな、じじ、と言う曇った機械音が鼓膜を震わせる。誰の声も聞こえない。悪戯？
だが、嫌な予感がした。受話器の中に私を殺せる化け物が潜んでいるような気がする。
「……えーっとご用件は」
《君だよ。そこにいたんだね》
ちょっとだけ低い、けれど良く知っている声だ。気の抜けるような、そういう声をしたヤツを私は知っている。
「────久し振りだね、ロシア」
今日の国歌
Phleng Chat(タイ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 26人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください！ (2022年3月15日 16時) (
レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして！アイス君可愛いです！ (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン＠JustinB好き(プロフ) - はじめまして！このお話大好きです！！ 更新応援しています！ヾ(*´∀｀*)ﾉ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……！ありがとうございます、励みになります……！！ (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます！ この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください！ ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はとのぱ | 作者ホームページ：http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4
作成日時：2017年2月23日 23時
