ひとつめのおはなしから ページ23
「……とまぁ、そんな感じで私の居候生活が始まった訳よ」
「壮大なんだろうけど、なんか軽いよね」
「私が軽いからじゃない?」
「何が軽いって?」
「愛が」
「意味わかんない」
久々に下らないやり取りをした気がする。
「で、話を戻すけど……ローマが分裂するまで私はローマの家に居たんだよね」
「……分裂するまで、って分裂したあとはどうしたの?」
痛いところを突く。正直まだ精神的に幼かったし、これを自ら言うのは恥ずかしい。まあ話すと言ったのだから話さない訳にはいかないけども。
「あー……イギリスっつーかイングランド?が出来るまで一人で泣いてたかな」
「えっ、それって」
「うん。500年くらいずっと。西ローマが亡くなったって聞いたときは本当に、狂ったように泣いてたよ。ガキんちょだったから仕方ないっちゃ仕方ないけどね」
地中海眺めながらずっと泣いてたなぁ。
「フランク王国とかも在ったんだけどねぇ。どうもローマが忘れられなくて、遠くの島に国が出来たって聞いたとき、ローマが復活したんじゃないかと思ってさ」
「A……」
「まぁ行ってみたらなんかつんつんしてんのかでれでれしてんのか判らない“まゆげくん”に出会ったという訳よ」
そのまゆげくんに救われた部分もない訳じゃない。だから今でも彼は大切な人だ。
イースは微妙そうな顔をして、私に向かって手を伸ばした。
「……イース?」
「今でも寂しいんでしょ。そんな今にも壊れそうな顔してさ」
すり、と私の頬を白い手がなぞる。擽ったくて思わずん、と声が出たけれど、イースは特に気にしていないようだった。
「何で……打ち明けてくれなかったの」
そのまま、イースは私を抱き締めた。幼馴染みとか、見た目が同年代に見えるからそうしていたけれど、彼は私なんか同じラインに立てないくらいとっても優しくて大きかった。
ほんのりと伝わるイースの体温が、どうしようもなく心地好くて、思い出話をした所為か、涙が出そうになった。
「ごめん。でも、私イースのこと大好きだから。変に思われたらどうしようって、同情もされたくなかったし」
「そっか」
少し声が震える。別にもう、未練も何もない筈なのに。
──本当は、もっと後悔してしまうような、そういう思い出もある。
でも、今はどうでも良かった。
イースに包まれていることが堪らなく幸せだったんだ。
今日の国歌
Phleng Chat(タイ)
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ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください! (2022年3月15日 16時) (レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!アイス君可愛いです! (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン@JustinB好き(プロフ) - はじめまして!このお話大好きです!! 更新応援しています!ヾ(*´∀`*)ノ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……!ありがとうございます、励みになります……!! (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます! この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください! ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はとのぱ | 作者ホームページ:http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4
作成日時:2017年2月23日 23時