Olim3 ページ21
「ローマ帝国も知らないとか……有り得ない」
「う、五月蝿いなぁ。時代が違うんだよ」
「それでも知っとこうよ」
*
周りの家に比べて、一回りほど大きな家へと私は案内された。
「ここ、ローマの家?」
「ん、そうだよ。でも、その前にちょっと挨拶しておきたい人が居るから。尾いてきて」
「えー、面倒くさ──」
「だーめ。そういうこと言うと何にも出来なくなるよ?」
「えー、別に私は良い──」
「サラーキア少し静かにしよっか」
笑顔の奥に黒色のような、何か逆らってはいけない物を感じて、私は固まってしまった。
やっぱりローマは、普通の人間ではなさそうだ。
▽
「あ、ローマ。遂に相手を見つけたんですね」
「誤解を招くような言い方は止してくれ」
きらきらと眩しく見える、ローマと親しい仲のような男性に私は目の当たりにした。誰だこの人。
「ねぇ、ローマ。この人誰なのさ」
くいくいっ、と裾を引っ張り、ローマに問う。
と、ローマは「あぁ!」と声をあげて、
「すっかり忘れてたよ。サラーキア、彼はローマ初の皇帝、アウグストゥスだ」
「忘れたのか……。で、君がアウグストゥスと。私はサラーキア。宜しく頼むよ」
「んー、何だかローマには勿体無い感じですねぇ。まぁ、合意の上でしょうし構いませんが。あ、アウグストゥスです。以後お見知りおきを」
「はぁ……?」
やっぱりこの人眩しい。
「それで、この子──サラーキアは貴方の何なのですか?」
「えーっと、航海の守り神みたいな感じかな」
「え、そうなの?」
私自身も知らぬ理由を突きつけられ、動揺する。幾らなんでもいきなり過ぎる。ほら、アウグストゥスもぽかんとしているのかぼーっとしているのかも判らない顔をしている。様になっているのが不思議で堪らない。
「何だか釈然としないなぁ。サラーキア、貴女に聞きます。ここに来た理由は?」
「ローマに半強制的に連れ回され……皇帝に一度は会っておいた方が良いと思ったので」
ローマが一瞬だけギッと此方を見たために、まぁ直ぐに笑顔に戻ったけれど、私はまたもローマに畏縮して、それっぽい理屈を並べた。
「成る程……ローマ、一体何が目的なんです?この子は貴方と同じで、別の存在でしょう」
「アウグストゥスちょっと待って。良く判んない」
「貴女は国では無いでしょう?」
「くに?」
何じゃそりゃ、と私は首を傾げた。今まで常識なんて知らなかったんだから、当然っちゃ当然だよね。
今日の国歌
Phleng Chat(タイ)
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ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください! (2022年3月15日 16時) (レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!アイス君可愛いです! (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン@JustinB好き(プロフ) - はじめまして!このお話大好きです!! 更新応援しています!ヾ(*´∀`*)ノ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……!ありがとうございます、励みになります……!! (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます! この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください! ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はとのぱ | 作者ホームページ:http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4
作成日時:2017年2月23日 23時