Olim2 ページ20
「え、まさかその人って……」
「ふふん、そうだよ。羨ましいでしょ?」
*
馴れ馴れしいな、そう思ったけれど、悪意はなさそうだし知り合いを増やす感じで行こう、と私は承諾することにした。
「
「あぁ、無理してこっちの言葉使わなくて良いよ。どうも君には“此方側”の素質がある。普通に話してくれて構わない」
折角頑張って少し話せるようにしたのに。
まぁ、彼等の会話を聞きながら、その動作と連携させて自分勝手に意味を作り上げた“擬きもの”だし、誤解は少ない方が良いか。
にこにこしているその人に会釈して、ご厚意に甘えることを示す。すると、その人は嬉しそうにして、
「俺はローマ。本当はもっとややこしい名前だったりもするけど……ここではそう呼ばれている」
「ロー……マ?ここの人たちとは少し違う感じの名前だね」
「まぁね。そういう君は?」
「私?私は、あれ」
そうして、私はちゃぷちゃぷと揺れる青いものを指差す。あ、私の髪と同じ色。マァレって呼ばれてたなぁ。
「マァレ、だったかな」
「マァレ?あぁ、mareのこと?」
「そう呼ばれてた。だから、貴方みたいに自分で認識している名前はないんだ」
「うーん。ならSalaciaはどうだろう。海の女神の名前だよ。君にぴったりじゃないか」
「サラーキア。うん、それがいい。ありがとうローマ」
「喜んでくれて何よりだよ」
不思議な人だ。初対面の私に呼び名まで付けてくれて、この人は他者を疑わないのだろうか。それとも、疑わないことを疑う私がおかしいのか。
……こんなことを考える方がおかしいか。
「そういえば、ローマは私に何の用だったの?」
「ん?おぉ、そうだったね。君、俺の家に来ない?」
「え、それはつまり」
「俺の下で働くってこと」
「要するにどれ──」
「あぁ、農業をしてもらう訳じゃないから。さっきのも農園で雇われてた奴だけど、女の子だし、あそこまでキツいことはしないよ」
あぁ、あの人、農家に雇われてたんだ。そりゃ逃げ出したくもなるね。
「それなら良いや。でも何でいきなり?」
「君はmareなんだから、一番良く判っているだろ?海を」
「あー、そういうことね」
つまり、あの青いもの──海と呼ばれたもの──の容態を確認するために私を部下にしておきたい、と。それなら納得だ。
「そんなんで良いの?」
「良いよ、君可愛いし」
「え、そういう問題もあるの?」
「まぁね」
失礼だが少し引いた。なんでキメ顔なの。
今日の国歌
Phleng Chat(タイ)
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ディア - 初めまして、楽しく読ませてもらいました。更新頑張ってください! (2022年3月15日 16時) (レス) @page34 id: 8032fbc3aa (このIDを非表示/違反報告)
葵 - 初めまして!アイス君可愛いです! (2019年9月8日 23時) (レス) id: 52626f1862 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーみやン@JustinB好き(プロフ) - はじめまして!このお話大好きです!! 更新応援しています!ヾ(*´∀`*)ノ (2019年9月8日 16時) (レス) id: cef1a7a657 (このIDを非表示/違反報告)
はとのぱ(プロフ) - まい苺さん» ほんとに全然更新できてなくてごめんなさい……!ありがとうございます、励みになります……!! (2019年9月8日 11時) (レス) id: 218c7caaed (このIDを非表示/違反報告)
まい苺(プロフ) - お久しぶりです。 今年、私は受験生なのでなかなか見にこれませんが。更新されたら絶対見に来ます! この話が大好きなので更新待ってます これからも更新頑張ってください! ずっと応援しています (2019年2月17日 20時) (レス) id: 09444efaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はとのぱ | 作者ホームページ:http://m-pe.tv/u/?littlepigeon4
作成日時:2017年2月23日 23時