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丈「なにしてんねん」
謙「あ」
なんとなく重い足取りで連れ立ってスタジオに戻ると、扉の前に張り付いている後輩二人。謙杜が慌てた様子で立てた人差し指を唇に当てた。道枝は眉を下げ、扉を背中で擦るように床にずるずると崩れ落ちる。三角座りの膝の隙間にぴったりと顔を埋めた。
丈「なに？」
謙「怒ってるんす。僕らも追い出されて」
扉の向こうから聞こえる大きな声。また怒号を浴びせているらしい。大吾は忌々しそうに顔を歪める。
西「なんで？」
道「小姫ちゃんは、なんも間違ってないっすよ」
くぐもった声で道枝が呟いた。そんなことは、きっと、全員分かっている。たとえなにか近江に足りていないものがあったとして、やるべきことに誠実に向き合う姿勢がないような人ではない。どうにせよ、感情を剥き出しにした顔が見たいだけなのだ。
丈「ほい」
買ってきたオレンジジュースを丈一郎は俯いた頬に軽くぶつける。
丈「お前が落ち込んでどうすんねん」
道枝は外からの負の感情を受けやすい。引きずられるように落ち込む姿を何度も見てきたからこそ、周りはそうならないよう極めてフラットに振る舞うようになった。彼女と通じ合う先輩のその態度にかたや腹を立て、かたや引き止められ。
もう一本を受け取った謙杜は、胸の前でボトルを握って不安げに扉を見つめた。
謙「さっきからずっとノンストップで踊り続けて…小姫ちゃん途中で立てなくなって…そしたらまた」
西「何にキレてんの？」
謙「そんなやったらついてかれへんぞ！って。立てっていうて…」
丈「あいつ、立てへんかったん」
道「小姫ちゃん、悪ないです」
丈「わかってる。ごめん」
丈一郎は扉の方に目を遣って唇を小さく噛んだ。なにも言わないことに大吾はまた少し腹を立てる。また中から大きな声が聞こえる。本当は今すぐ扉を開けて水の一本飲ませてやりたいのに、さりげなく扉の正面に立つ丈一郎がそれを許していないように見えた。
丈「大橋は？」
謙「どっかいきました。自販かと思ってた」
西「自販機来てないで」
和「あれ、謙杜出てきたん？」
話をしているところにちょうど戻ってきた話題の人。
大橋の手には絞ったタオル。
和「丈くんたちも戻ってたんや」
丈「どこ行ってたん」
和「タオル濡らしてん」
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れわ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、お返事も更新も遅くなってしまってすみません。言葉で反応を下さって本当にありがとうございますとても嬉しいです。読み返してくれるなんて幸せです。これから最年長さんとのお話も続けられたらと思っているのでぜひ読んでいってください。本当にありがとう。 (2021年8月3日 23時) (
レス) id: bd6b5a81fd (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 凄く好きなお話で一気に最後まで読ませて頂きました、言葉使いが凄く好きで心がキュッてなったり切なくなったり幸せな時間でした特に4thの後半が凄く好きでもう一度読み返してこようと思います、素敵な作品をありがとうございます！ (2021年7月22日 23時) (レス) id: db191b2c1e (このIDを非表示/違反報告)
れわ(プロフ) - やしのみさん» やしのみさん！コメントありがとうございます。本当にうれしいです。本当に本当にうれしいです。これからも、大切に書いていこうと思えました。ことばでおくってくださって、本当にありがとうございました。よければまた読んでいってください。 (2021年5月12日 1時) (レス) id: bd6b5a81fd (このIDを非表示/違反報告)
やしのみ(プロフ) - 評価が一度しかできないのが残念なくらい、何度でも★10を押したい大好きなお話です。丁寧に大切に紡がれていくお話に心癒されています。ありがとうございます。 (2021年5月9日 15時) (レス) id: 2d633d615a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れわ | 作成日時：2021年1月8日 20時
