花のち晴れ〜another story〜2

泣き顔.Haruto ページ18

*





…………知りたくなかった。






一ノ瀬が馳天馬のことを好きだなんて。







愛莉「何で泣いてたんだろ〜〜？

親友を傷つけられて悲しかったのかしら。」






アイツの涙の意味を

愛莉は知らない。



知らなくていい。

気づかなくていい。




晴「愛莉、お前クソだな。

吐き気がするぜ。消えろ、二度と現れんな。」





走り去った一ノ瀬の背中はもう、見えなかった。



いつも強気なアイツの泣き顔。


愛しくて、でも切ない

哀しみで溢れた涙。






自分でも知らなかった自分の気持ちに気づかされた。




俺にはそういう風に見えた。








…………俺は一ノ瀬が好きだ。

あの笑顔を守りたい。

俺が側にいたい。

アイツを泣かせる全てのものをなくしたい。






泣き顔をみた途端

たくさんのアイツへの想いが巡って

気づけば拳を強く握りしめすぎていたようだ。






馳天馬……………

一ノ瀬の恋はきっと、叶うことはない。

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