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彼の右手に重ねた自分の手は、震えていた。

「ずっと…ずっと、あなたに焦がれてた」

上手く言葉を選べない。

声が震える。

吐く息が熱い、苦しい。

それでも、わたしと目を合わせてふっと笑みを浮かべたレオナさまが欲しくて、どうしても欲しくて堪らなくて、必死に言葉を紡いだ。



「好きです。愛しています。…こんな言葉じゃ足りないくらい。レオナさまが、欲しいんです…」


彼の心も、体も、声も、その視線も。わたしが独り占めしてしまいたい。

一方的に想うだけでは、結局足りなかった。

ほかでもない彼に、この欲を満たされたいと思ってしまった。

息を吐き出して目を伏せると、添えられた掌で頬を撫でられる。

 

「随分と可愛く鳴けるじゃねぇか」

いつも通りの、わたしを少し揶揄うような口調。

でも、その声はずっと優しくて穏やかで、心なしか熱さえこもっている気がした。

「揶揄わないで…ください」

彼と手を重ねていることが急に気恥ずかしくなって、手を下ろす。

それでも行き場を求めた手が、キュッとレオナさまの服の裾を掴んだ。


レオナさまの手が、そっとわたしの頬から離れる。

「A」

砂糖よりもずっとずっと甘い声で、わたしの名前を口遊むレオナさま。

でもきっと、そんな声で告げられる現実はひどく残酷だ。



「俺は、誰のものにもならない」


ほら、ね。わかってたけど。

思わずじわりとこみ上げそうな涙をこらえて、口を開きかけた。


「__だが」

その先に続いたレオナさまの言葉に、思わずふと顔を上げる。


鮮烈な輝きを持った彼の瞳が、わたしを見つめ返す。





「お前は特別だ。良いぜ、俺の全部、お前にやるよ」



ひくん、とわたしの喉が鳴った。


人は驚くと何も言えなくなるというのは本当みたいで、わたしは言葉を探して何も言えずに口をパクパクさせるだけだった。


「んだよ、その顔」

してやったり、とでも言いたげなレオナさまが、わたしの鼻を指で軽くはじく。


「っだ、だって!あなたは、そんな…」

言いたい言葉を見つけられなくて目線をウロウロさせるわたしの頭を、レオナさまがくしゃりと撫でる。

「可愛い飼い猫にここまで言わせて、主人が何もしねぇわけにいかないだろうが」

その言葉の甘さに、目眩さえ覚えそうだ。


「お前は俺だけのものだし、俺はお前だけのものだ。それで良いだろ?」

彼の諭すような声音に、きゅうきゅうと心臓が切なく音を立てていた。

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麗奈 - とても読んでいて、キュンキュンしました。レオナさんの優しさや独占欲嫉妬心、なにより溢れんばかりの愛情。これがとても伝わってきて、読み終わったとき、どうかこの二人が幸せになりますようにと、心から思わせてくれるような作品でした。 (2023年4月1日 19時) (レス) @page34 id: 1d0df350f7 (このIDを非表示/違反報告)
candy - コメント失礼致します。ご作品拝見させていただきました!夢主とレオナの関係性を含んだ上でもどかしさだったり切なさだったり、でも甘かったりとても見ていて面白いなぁと思いました!それに何よりるり様の描く描写や世界観があまりに素敵で見入ってしまいました! (2023年1月2日 2時) (レス) @page34 id: 3ec148aec7 (このIDを非表示/違反報告)
津城瑠生(プロフ) - コメント失礼します。文章の書き方が想像しやすくてすんなりと物語の世界に入っていきました。レオナさんの悲願と言ったらいいんでしょうか…、それが叶っていく過程がとても好きです。素敵なお話をありがとうございました。 (2022年11月21日 8時) (レス) id: 90b7e5739a (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 面白くてつい一気読みしてしまいました…!何度「ん"ッ」ってなったことか…!!!久しぶりに満足できる甘々小説を読めました!ありがとうございました!! (2022年5月31日 21時) (レス) @page34 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます!こちらこそ最後まで読んでくださりありがとうございました! (2022年1月22日 19時) (レス) id: 8e93effa05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:るり | 作成日時:2020年8月2日 17時

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