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「なっ、ばっ…？！」
彼のその行動よりも、『馬鹿』と言われたことに反応してしまう。
だって、だって！馬鹿なんて言われたのは初めてだもの！
思わず、俯いていた顔をパッと上げてレオナさまと目を合わせれば、先ほどの重苦しい雰囲気とは一転、わたしを揶揄うような色がその目には浮かんでいた。
それと同時に、なんだかむず痒いような、可愛がってる飼い猫を見つめるような、例の視線。
それに心臓がきゅぅ、と音を立てて、肺がしぼむような感覚がする。
彼の瞳をなんだか見ていられなくて再び俯けば、レオナさまに両手首を掴まれて壁に背中を向ける形になる。
わたしよりもはるかに背の高いレオナさまが、わたしを壁際に追い詰めれば、彼がわたしに覆いかぶさるような体勢になるのは必然だし、手首を掴まれてしまえば逃げる術はもう残ってない。
わたしは縮こまってしまった体をさらに縮こめるしかなかった。
頭の上にある耳の近くで、レオナさまの声が響く。
「お前には前にも言ったはずだ。『俺の手元から離れることは絶対に許さねぇ』って。それでも、俺の手元から離れようとした」
思っていたよりもずっと近い声に、ぴくりと耳が動いた。
「お許し、ください…」
「別に怒ってねーよ。ただ、お前が俺から逃げたがってる理由を知りたいだけだ。…さっきはあんなに熱烈な告白をしてくれたのになァ？」
レオナさまの笑みを含んだ声に、一瞬混乱する。
熱烈な告白、って。
「俺はお前にとって、よほど『大切な人』らしい。光栄だ」
追い討ちをかけるようなその言葉に、本格的にその場から逃げ出したくなる。
「それは…その、違うんです…」
「何が違うんだよ」
そう聞いてきたレオナさまの声は、どこか切実な響きを伴っていて、また心臓が変な音を立てる。
どうせ、わたしの気持ちだってわかっているくせに。
こんなことを聞いてくるんだもの、いじわる以外の何物でもない。
どうにかしてわたしに覆いかぶさる彼から逃れようとしても、あの低い声で「逃げんな」と耳元で言われてしまえば、身動きが取れなくなってしまう。
全部、ぜんぶわたしのエゴなのに。
それでも、そんなわたしも含めて肯定して、逃すまいとする彼の心がわからなかった。
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麗奈 - とても読んでいて、キュンキュンしました。レオナさんの優しさや独占欲嫉妬心、なにより溢れんばかりの愛情。これがとても伝わってきて、読み終わったとき、どうかこの二人が幸せになりますようにと、心から思わせてくれるような作品でした。 (2023年4月1日 19時) (
レス) @page34 id: 1d0df350f7 (このIDを非表示/違反報告)
candy - コメント失礼致します。ご作品拝見させていただきました！夢主とレオナの関係性を含んだ上でもどかしさだったり切なさだったり、でも甘かったりとても見ていて面白いなぁと思いました！それに何よりるり様の描く描写や世界観があまりに素敵で見入ってしまいました！ (2023年1月2日 2時) (レス) @page34 id: 3ec148aec7 (このIDを非表示/違反報告)
津城瑠生(プロフ) - コメント失礼します。文章の書き方が想像しやすくてすんなりと物語の世界に入っていきました。レオナさんの悲願と言ったらいいんでしょうか…、それが叶っていく過程がとても好きです。素敵なお話をありがとうございました。 (2022年11月21日 8時) (レス) id: 90b7e5739a (このIDを非表示/違反報告)
明理(プロフ) - 面白くてつい一気読みしてしまいました…！何度「ん"ｯ」ってなったことか…！！！久しぶりに満足できる甘々小説を読めました！ありがとうございました！！ (2022年5月31日 21時) (レス) @page34 id: 0be17a4bd3 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - もさん» もさんありがとうございます！こちらこそ最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2022年1月22日 19時) (レス) id: 8e93effa05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るり | 作成日時：2020年8月2日 17時
