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この国を変えるべく、楽しそうに語るレオナさまを見ていてふと疑問に思う。
この人は、自分の国を憎んではいないのだろうか。
『嫌われ者の第二王子』
自分をそう自嘲していたくせに、国の未来を考えるその瞳は、理知的でいて、奥には熱い炎がある。
「レオナさまは、この国を憎んでいないんですか?」
「憎むも何も、元から好きでも嫌いでもないさ。まぁ…頭の硬い重臣やら宰相やらは俺の意見ってだけで聞く耳を持たないのは気に食わないがな」
だがそれも、俺が変えてやる。
あくまで静かに、でも確かに情熱を持ってそう言う目の前の王子。
「腐っても、俺は王族だ。2番目だろうとなんだろうと関係ない。この立場に生まれた限り、俺にはその立場を全うする義務がある。嫌だから投げ出すわけにもいかないだろ?それはガキのやることだ」
「…つらく、ないんですか」
そう言うわたしの顔を見たレオナさまが、ふは、と気の抜けた笑い声をあげる。
「お前が辛そうな顔してどうするんだよ」
言われて初めて、自分の眉間にシワが寄っていたことがわかる。
だって、あなたはこんなにも聡明で努力家なのに、こんな待遇は、あまりにもひどいじゃないか。
この人のことを理解しているなんてあまりにも烏滸がましくて言えないけれど、レオナさまこそ、こんなところに留まっているべき人じゃない。
「…確かにうんざりすることだって腐るほどあるさ。それでも俺がこうして暮らしていけるのは全部、民のおかげだ。なら俺は、」
フッと口角を上げ、それはそれは美しく微笑んだレオナさま。
「民の幸せの為に生きて、死ぬ」
その言葉に、心臓を撃ち抜かれた気すらした。
この人は、自分の境遇に不満を持っている。それは確かだ。
でも、それに自棄にならずに、背負って生まれた義務を果たす為に努力するなんて。
誰にでもできるようなことじゃない。この人だからこそ、できることだ。
「…本当に、あなたはすごい人だ」
「ハハ!これでも王になるのを諦めてはいないんでね。なあ、王に必要なものはなんだと思う?」
また、唐突な質問。
「…い、威厳…とか?ですか?」
わたしの答えにレオナさまがフッと眦を緩めた。
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るり(プロフ) - ネイビーさん» はじめまして〜こちらこそそんなに褒めていただけて光栄です!ありがとうございます^ ^ネイビーさんをギュンギュン(笑)させられるようにわたしも頑張りますね!更新頑張ります! (2020年6月16日 8時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ネイビー - はじめまして!このような素晴らしい作品を書いて下さり、誠にありがとうございます。もう、もう、レオナさんかっこ良すぎて、キュンキュン通り越してギュンギュンでした!これからもずっと応援しています! (2020年6月16日 1時) (レス) id: a7f9a787f1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 誓雨さん» 誓雨さんありがとうございます〜!とても嬉しいです!そろそろ続編に移ろうかと考えているのでそちらでもよろしくお願いします。頑張りますね〜! (2020年6月15日 19時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
誓雨(プロフ) - この小説ほんと好きです!レオナさんもカッコいいし夢主ちゃんも可愛いし……いつもキュンキュンしてます!更新頑張ってください! (2020年6月15日 19時) (レス) id: fc504e5c9b (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - Aさん» ほ、ほんとだ…わざわざご指摘ありがとうございます!タイトル書き間違えてました…お手数かけてすみません…。頑張りますね! (2020年6月14日 23時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るり | 作成日時:2020年5月9日 23時