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「こ、皇后さま！」
『俺に仕えろ』＿＿＿その大変勝手極まりない命令をレオナさまから下された日の夜、わたしは皇后の部屋に駆け込んだ。
第二王子はどうやら上の人たちを言いくるめてわたしを自分の下に置くよう、その日のうちに辞令を出すことに成功したらしい。
「ああA…！」
皇后も少し慌てた様子でわたしの手を取る。
「大丈夫？レオナの元は不安よね…でもしっかり気をもって」
どうやら、皇后が慌てていたのはわたしに出された辞令そのものについてのようだ。
わたしが自分の元から離れることについては何も思わないのかな。
その考えが顔に出ていたらしい。
眉を下げて笑った皇后が、ギュッとわたしの手を握る。
「Aがわたしの元から居なくなってしまうのはもちろん不安よ。できれば離れて欲しくないわ。あなた、本当に優秀だもの。王宮きっての才女のあなたを自分の側近にできたときは本当に嬉しかったわ。おまけに可愛いし気立ても良いし」
そうして手放しで褒められるとなんだか恥ずかしくなる。
「あの、」
「でもね、A」
わたしよりも背の高い皇后が、そっと身をかがめてわたしと目線を合わせる。
いつもはいたずらな光を湛えた瞳は凪いで、それでもなお、とても美しかった。
「わたしの元で一生を終えて欲しくはないの。何度も言うけれど、あなたは本当に優秀だから。わたしだけに仕えているのは勿体ないわ。たくさんの人の元で経験を積んでほしい」
わたしが瞬きをすれば、ふわりと皇后が笑う。
「今回のことをひとつのきっかけにすれば良いわ。大丈夫よ。とりあえず、レオナがホリデーで帰ってきてる間だけ。レオナが学校に戻ったら、いつも通りわたしのところへ戻ってきて」
「でも、わたしは、母さ…母の遺志を全うしなくてはいけません」
「そうね、あなたは本当に親孝行だわ。でも、あなたの人生はあなただけのものなんだから」
わたしの、人生。
その言葉に、心臓がトクンと音を立てた。
「…束の間のあいだ、お側を離れることをどうかお許しください」
彼女の足元に跪き、手を取り額に合わせる。
「ええ。行ってきなさい」
そっと顔を上げれば、満足げに笑った皇后が、わたしを見下ろしていた。
かくして、わたしは第二王子の付き人となることとなったのである。
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るり(プロフ) - ネイビーさん» はじめまして〜こちらこそそんなに褒めていただけて光栄です！ありがとうございます^ ^ネイビーさんをギュンギュン(笑)させられるようにわたしも頑張りますね！更新頑張ります！ (2020年6月16日 8時) (
レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
ネイビー - はじめまして！このような素晴らしい作品を書いて下さり、誠にありがとうございます。もう、もう、レオナさんかっこ良すぎて、キュンキュン通り越してギュンギュンでした！これからもずっと応援しています！ (2020年6月16日 1時) (レス) id: a7f9a787f1 (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - 誓雨さん» 誓雨さんありがとうございます〜！とても嬉しいです！そろそろ続編に移ろうかと考えているのでそちらでもよろしくお願いします。頑張りますね〜！ (2020年6月15日 19時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
誓雨(プロフ) - この小説ほんと好きです！レオナさんもカッコいいし夢主ちゃんも可愛いし……いつもキュンキュンしてます！更新頑張ってください！ (2020年6月15日 19時) (レス) id: fc504e5c9b (このIDを非表示/違反報告)
るり(プロフ) - Aさん» ほ、ほんとだ…わざわざご指摘ありがとうございます！タイトル書き間違えてました…お手数かけてすみません…。頑張りますね！ (2020年6月14日 23時) (レス) id: c451112bd1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：るり | 作成日時：2020年5月9日 23時
