【テニプリ】聞く耳もたらすーその7【男主】

別れこそ会うの始めーその23 ページ8

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跡部様の目線も頭を撫でてくれる手つきも、弟を労るという言葉が完全に当てはまっている。

こんなふうに跡部様と関わることができて、その上これから跡部様のテニスを見学する機会まで手に入れられた。


幸せと安堵で思わず頭を撫でる手に擦り寄ると、後ろからぎゅっと抱きしめられて身がすくむ。

口をついてでた制止の声も上ずってしまって顔に熱が集まった。



「あ、跡部様！」



「ちょっと、跡部。それくらいにしてよ。」



俺よりもっとムッとした声を上げたのは幸村部長で、その声に跡部様もふんっと鼻を鳴らして返した。



「いいじゃねーか、俺様達は兄弟なんだからな？


…ああ、そうだ。幸村、合宿明けの練習はいつから始まる？」



「え？ああ、うちは合宿終わってから三日休んで練習再開だよ。」



「そうか、なら氷帝と同じだな。

よしA。三日後、都合のいい時間に連絡を寄越せ。車で迎えに行く。」



「わかりました！」



俺が笑顔で返事をした向こうでは、
「あーあ、なんかのズレで俺達がAのいない練習を体験しなくてもいいようになれば良かったのに…」

「幸村君なら時空ぐらい操れるんじゃね？」

「いや、本当に出来たらどうするんだよ、やめろよそういうこというの…」


なんて会話が聞こえてくる。ジャッカル先輩の言う通りだ。本当に出来そうだしできたら困るから新たな可能性を見出すのはやめてくれ。



「そろそろいいかい跡部？」



「ああ。」



幸村部長に促されて跡部様の腕がするりと離れる。


俺が「合宿、お疲れ様でした！」と頭を下げると跡部様はふっと微笑んで「三日後な。」とまた頭を撫でた。



「じゃあな」



別れの言葉と共に頭を撫でていた手がするりと顎まで移動して、くいっと少し顔を持ち上げられる。

そのまま声とともに跡部様の整った顔が近づいてきて、


ほっぺに柔らかい感覚。



「え、ぁ、！？」



戸惑う俺と目を見開いた先輩方を見て、にんまり笑った跡部様は片手を軽く降って満足そうに踵を返した。









何が何だかわからなくなって騒ぐ先輩達の声をと主巻きに熱い顔のままぼーっとしていたが、よく良く考えれば跡部様はイギリスで生活をされていた時期があるし……挨拶の一環だったのではと考えるとすんなり受け止めれる。



なんだ今のは、としきりにつついてくる丸井先輩と仁王先輩を、ただの挨拶じゃないですか、と軽くあしらった。



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