【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

子供は海へ舟は水ーその36 ページ30

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「…ふぅ」




時は変わりまして現在8時頃。

乾かしたばかりの髪を梳きながら、なにか飲み物でも買おうと思ってちっちゃい談話室に歩いている。


騒ぎ声の聞こえる部屋達が並ぶ薄暗い廊下をちょっと歩いて、自販機の光が漏れる部屋の自動ドアをピッと開いた。




「あれ、」



「…あ、加賀さん」



どうやら先客がいたようだ。

自販機から飲み物を出そうとしゃがんだ伊武さんは、こちらを見てぺこりと少し頭を下げた。




「お疲れ様です、伊武さん」




「お疲れ様……といっても今日やった事なんて海いって遊んだだけだけど。いいのかなぁ、俺達練習しに来たのにあんなことして…神尾もめちゃくちゃはしゃいじゃって、連れ回されて…練習よりも疲れるんだからさぁ…」





「あはは、でも楽しめましたか？」




「…まぁ、ね。」




笑いを少し含んだ息を吐いてペットボトルを取った伊武さんは、そのまま近くの長椅子へと腰掛けた。



俺は特に飲むものを決めてなかったから、伊武さんと同じものを頼もうとしてそのペットボトル見て、目を丸める。




「…経口補水液？」




伊武さんはそれに口をつけて一言、「うま」とつぶやく。


(…………経口補水液は、手術の時に麻酔が効いて水分補給が出来なくなるからって飲んだことがあるけど…絶対美味しくはなかった
ネットでは確か、経口補水液が美味しいと感じた時は…)




「熱中症の疑いがある、って」




「…どうしたの？」




心做しかいつもより気だるげな顔でこちらを振り向いた伊武さんに、さっと血の気が引く。


頭にはてなを浮かべた伊武さんが首をかしげて立ち上がろうとするのを慌てて止める。




「ちょ、ちょっと伊武さん寝ててください！！」




「え、なになに…ほんとになんなの…」




「いいから！」



俺は缶のジュースを二つ買って、急いで伊武さんを長椅子に寝るように言った。







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