【テニプリ】聞く耳もたらすーその6【男主】

別れこそ会うの始めーその12 ページ46

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「お、そうだ」




俺が渡したガムを早速口に放り込んだ田仁志さんが、ポケットを漁る。




「あい、これ！」




「わ、ありがとうございます…アメ？」




「わんも甘いもん持ち歩いとんばーよ！それ、お返しさー！」




「いいんですか？ありがとうございます！」



大切に食べますね、と笑えば田仁志さんもにかっと笑ってくれた。



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「貴方達！！荷造りはもう済んだんでしょうね？そろそろ出発ですよ！」




田仁志さんの持っているガムに甲斐さんと平古場さんがわらわらと群がっていると、木手さんの鋭い声が飛んできて3人ともがびくりと肩を揺らした。




「やっべー！わん、まだ荷物持ってきてないんど…！」




ばたばたと平古場さんが荷物を抱えて持ってきて、その後を田仁志さんが追っていく。
荷物を積み終えてまたバスから降りて来ようとする3人を、さっさと乗りなさいよ！という木手さんの声が押し戻した。




「そいじゃA、」




「｢｢じゃーなー！｣｣」




手を振る3人に、寂しさを堪えて笑って手を振り返す。




「A君。」




「木手さん｣



3人がバスに乗ったことを確認した木手さんに声をかけられる。

俺がお疲れ様でしたを言おうとすれば、咳払いをされて口を噤む。
んっん、と咳払いを終えた木手さんは襟を正してメガネを整えて、こちらに手を差し出した。




「色々と、お世話になりました。



次は全国で。また会いましょう。」




「あっ俺の美味しいセリフ盗みましたね…」




むすっと手を握り返せば「ええ、ご馳走様です」と笑われた。


揚げ足を取られてため息をついてから、俺も負けじと両手で手を包んで笑う。




「こちらこそ。全国大会で会いましょう！」






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