【テニプリ】聞く耳もたらすーその4【男主】

王神相搏つーその16 ページ41

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テントに戻って、保険表をパラパラとめくる。その表はこのテントを使ったら、名前と怪我や治療方を書くようになっている。
流石に皆スポーツマンだから擦り傷程度ならその場で何とかするんだろう、あんまりその表は減っていなかった。


(…向日さん、毎日来てる。)


向日さんの名前だけ、毎日書いてある。今日の朝も来たらしく、「おれ いつもの」と適当に書き殴ってあった。
いつものってなんだ、と笑って上の欄を見ると「向日 擦り傷 絆創膏」と丁寧な字が。
きっと忍足さんあたりが付き添いで書いたんだろうな。


向日さんの名前も気になったけど、もっと目を引いたものもあった。


今日の「おれ いつもの」の次にあった名前。


「…あ、あくたがわ、じろー？であっているのか？」


そこに書いてあったのは、付け置きの鉛筆で元気よく三枠使って書いてある
「芥川じろー つきそい かみん」
の字だった。
あまりの元気の良さに鉛筆が折れたのか、｢かみん｣の最後の｢ん｣の字が途中で途切れている。


かみん…かみん…仮眠かな？


どこの学校の人だろうか、この感じだと向日さんのつきそいだから氷帝の人かな？


そんなことを考えながら、俺は折れた鉛筆を削った。




「A君！」


「あれ、鳳さん。」


俺が削り終わった鉛筆を置いた時、ちょうど後ろから声をかけられた。


「そろそろご飯だよ、一緒に行かない？」


その声に俺は携帯で時間を確認する。
12時半か、昼休みが始まるのは12時からだからもうテント空けてもいいだろ…
そう思って俺は鳳さんに頷いた。


「行きます！お腹減りましたね〜
あ、そういえば…」


この「芥川 じろー」さんのこの、鳳さんならなんか知っているかな？
そう思ってなに？と首を傾げる鳳さんに、表の名前を指さして見せた。


「この芥川さん？って人、俺会ったことないんですけど氷帝の方ですか？」


「ああ！芥川さん、A君会ったことなかったんだ〜丁度いいから一緒にご飯食べるの誘ってみよっか！」


さ、行こ！と俺の手を引いた鳳さんにはいと返事をして、俺はその後をついて行った。




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