窮鼠なれど王を噛めーその17 ページ11
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「杏ちゃん、大丈夫！？」
倒れ込んでる杏ちゃんに駆け寄る。倉庫の中は暗くて埃っぽく、物がごちゃごちゃにしまわれていた。
「っ……天海さんは…？」
差し出した俺の手を取って起き上がりながら、俺は耳を澄ませて天海さんがもういないかどうかをを確かめる。
「さっき出ていったよ、もう近くにはいないみたい…痛くない？」
「全然？」
「えっ」
天海さんがいないと聞いた途端、杏ちゃんはさっきまでの泣きそうな顔をけろりと変えて、ジャージの裾をぱたぱたと払う。
「え、え？」
「私九州女児だもん、あんなか弱いお嬢様の手で痛がったりしないわよ！」
「……そ、そですか」
ほんとに大丈夫そうな杏ちゃんになんて言っていいかわからず相槌を打つと、杏ちゃんはちょっと向こうを向いて「よかならあぎゃん女くらわすってうっぽしゃぐったるばい…」と低い声で呟いてた。詳しくは分からないが九州女児怖い。強い。
「…え、じゃあなんであんなLINEしたの？」
「だってA君証拠集めてるんでしょ？」
「あ、そうだった…」
「ちょっと、しっかりして！確かに私は天海さんが事件について何か言うようにあんな言い方したけど、言ったことは嘘じゃないわ！
比嘉中の人達が帰るなんておかしいもん。で、証拠にはなりそうなの？」
「あーそれが…」
俺は申し訳なく思いつつ携帯のメモを見せる。
「思ったより聞こえなくて…あれだったらマンガとかみたいに録音したのを突き出せれば良かったんだけどね…」
「そっか……それはしょうがないわね…」
二人でうーんと唸る。
ちらりと見た杏ちゃんの右の頬は赤くなってる。
取り敢えず、冷やした方がいいんじゃないかな…
「とにかくここ出ようよ。で、杏ちゃんは叩かれた所を冷やさないと。」
「え？だから私痛くないって」
「痛くなくても痕になったら困るよ！
お兄さんの橘さんにもよろしく頼むって言われたし、俺ほっぺた赤い杏ちゃん連れて歩いてたら殺されるよ……」
九州女児が強いなら九州男児はもっと怖そうだ。俺が遠い目をしてそう言ったら杏ちゃんはお兄ちゃんそんなに怖くないよと笑った。
「でもそうね、まずはここを出た方がいいわね。
……それにしても証拠はメモねぇ…あっ、」
扉に手をかけた杏ちゃんが立ち止まる。
どうしたの？と声をかければ、杏ちゃんはニヤリと笑ってこう言った。
「ね、ほっぺ冷やしたらA君の先輩達に会いに行きましょ。
作戦ができたの。」
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木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» コメントありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年4月30日 0時) (
レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ルドルフ組が可愛かったです！ (2018年4月29日 22時) (レス) id: 9521c565b3 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます！ルドルフの中だと淳が好きなので、かなり淳との会話が多くなってしまったかなと思います…！お気に召して貰えたならなによりです！ (2018年4月29日 19時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフかわいかったです！家族設定面白い！ありがとうございました！ (2018年4月29日 18時) (レス) id: 91bd124fa4 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 暁月さん» ご指摘ありがとうございます！訂正しました！ (2018年4月29日 13時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：木こりのコロポ | 作成日時：2018年4月14日 8時
