窮鼠なれど王を噛めーその23 ページ17
ー
破裂音が食堂に響き渡る。
その衝撃に、副部長がやった時のようにまつげや頬に風が当たった気がした。
再び静まる食堂。集まる視線。
成功した、と分かった瞬間、副部長がよくやった、と言うように口角を少し上げた。
立ったままの天海さんすら、目を瞬かせて動きを止める。
俺は口を噤んだ跡部様をキッと睨みながらゆっくり口を開いた。
「黙って、話を、聞いてください。」
一言一言噛み締めるように言葉を続ければ、跡部様は目を伏せてゆっくりと椅子に座った。
それを確認して俺は息を一つ吐いて静まり返った食堂に言葉を続ける。
「…証拠なら、ここにあるんです。」
携帯を取り出し、杏ちゃんから貰った音声メモをタップし高く掲げる。
携帯から流れる天海さんと杏ちゃんの討論。
ノイズ混じりのその音に、立ったままの天海さんがわなわなと震える。
「そんな、だって…！誰もいないって確認したのに…！｣
「へぇ、じゃあこの音声のこれは天海さんって事で間違いないですね？」
皆が天海さんの事を、思い思いの目で見ていた。信じられない、嘘だったのか、そんな声が聞こえてくるようだ。
「反論はありませんか？天海さん。」
落ち着いた声でそう言った俺の声は妙に暗く、何故か俺は口角を上げていた。
なぜか、清々しているのだ。改めて考えれば、この人のした事は悪であるから。
桜乃ちゃんに仕事を押し付け、くだらない理由で比嘉中を陥れて、杏ちゃんに怪我させた。
(…ああ、今思えばあれも嫉妬だって認めよう。)
仁王先輩と、話したあれも。あれにすら俺は怒っているんだ。
口元を覆って青い顔をする天海さんに、勝ち誇った顔の俺。
「言いたいことはないんですか？
さぁ、言ってみてくださいよ。
そのお得意のお口を使って。」
ガタリ、天海さんがその場に崩れ落ちた音がした。
ー
窮鼠なれど王を噛めーその24→←窮鼠なれど王を噛めーその22
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» コメントありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年4月30日 0時) (
レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ルドルフ組が可愛かったです！ (2018年4月29日 22時) (レス) id: 9521c565b3 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます！ルドルフの中だと淳が好きなので、かなり淳との会話が多くなってしまったかなと思います…！お気に召して貰えたならなによりです！ (2018年4月29日 19時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフかわいかったです！家族設定面白い！ありがとうございました！ (2018年4月29日 18時) (レス) id: 91bd124fa4 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 暁月さん» ご指摘ありがとうございます！訂正しました！ (2018年4月29日 13時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木こりのコロポ | 作成日時：2018年4月14日 8時
