窮鼠なれど王を噛めーその20 ページ14
ー
「A君!」
「あっ杏ちゃん!!え、これ!?どうやって!?」
先輩達がその音声を聞いている間に杏ちゃんや部長、仁王先輩が帰ってきた。
ドヤ顔をする杏ちゃんに俺は思わず立ち上がって手をとる。
「えへへ、それは内緒!ちゃんと夕食の時に話がまとまってから教えてあげる!」
「っあーそうだった………」
杏ちゃんの言葉で思い出す。俺はこの証拠をあの場に、そして跡部様に突き出して俺の声を通さなければならないんだった。
俺はためしにちらりと先輩達を見やる。
「だ、誰かその役を買って出てくれる方は……」
「こらA」
「あいてっ」
そう言って見れば部長に軽くチョップされた。
「いい?俺たちは証拠探しを手伝うとは言ったけど、それ以上は甘やかさないよ。あの子の陰謀を止めるのも、比嘉中を救うのも跡部に食ってかかるのもAの役目だよ。
それに、跡部と顔を合わせるにはいい機会なんじゃない?あの時も発言に対する物言いも兼ねて、ひと牙剥いといたら?」
う、部長の言いたいことは分かっている。この話を言い出したのは俺で、先輩達を巻き込んでしまったからには後始末は自分でやらなければ。
俺は意を決して息を吐く。
「…分かってます、あ、跡部様に逆らうのは金輪際ないと嬉しいですけど…」
「もう、そんな弱気じゃ駄目だろう?」
「でも……」
あの時のことを思い出す。俺あの時、「聞こえない」って言われたし。
「また、聞こえなかったらどうしようって…」
俺のその言葉に、思い出したように俺の肩を叩いて「おい、」と言ったのは副部長だった。
「それなら聞ける環境を作るまでだ。奴らを静かにさせればいい。」
「でも…声ちっちゃいのにどうやって静かにさせるんですか」
「お前にまだ教えていない技があったんだ。」
そう言った副部長は少し得意げで。俺は少し首をかしげる。
「お前が人に届けることが出来る音は声だけではない。
まぁ…技という程でもないが、この技はきっとお前の役に立つはずだ。」
教えてやろう、と自信満々に副部長は手を差し出した。
ー
窮鼠なれど王を噛めーその21→←窮鼠なれど王を噛めーその19
204人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» コメントありがとうございます!これからもよろしくお願いします! (2018年4月30日 0時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ルドルフ組が可愛かったです! (2018年4月29日 22時) (レス) id: 9521c565b3 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます!ルドルフの中だと淳が好きなので、かなり淳との会話が多くなってしまったかなと思います…!お気に召して貰えたならなによりです! (2018年4月29日 19時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフかわいかったです!家族設定面白い!ありがとうございました! (2018年4月29日 18時) (レス) id: 91bd124fa4 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 暁月さん» ご指摘ありがとうございます!訂正しました! (2018年4月29日 13時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年4月14日 8時