検索窓
今日:7 hit、昨日:34 hit、合計:180,926 hit

世話焼きも手を焼くーその31 ページ39




ぱたん。


仁王先輩の部屋の扉が閉まる。


嫉妬か……嫉妬?ないない、絶対ない。


と思っていても仁王先輩の言葉は頭を離れてくれない。
歩けば歩くほど、いや実は嫉妬だったんじゃないのか?という気持ちになるので、走って部屋に向かった。


「う、う、」


「おやA君、どこに行っていたんです、そろそろお風呂に…」


「うわぁあああああ!!!」


俺が叫びながらベッドにダイブ。観月さんはぎょっとして持っていた着替えを落とした。


✄------------------------------✄



「…ふぅ。」


風呂上がり、マネージャー用ノートを持って明日担当の比嘉中の部屋へ向かう。

青学の所の大石さんには途中で会ったので、部屋まで行く手間が省けた。


これを渡したらさっさと部屋帰って寝よ。


そう思って歩いていると、


「…デジャブ。」


天海さんの声が聞こえる。何か言い争っているようだ。俺は今度こそひっそりと様子を伺うため、耳栓を片方外した。



「っ、そんなこと!!していいと思っているの!?」


「ええ。まぁ別にいけないことをしたのは貴方ですからね。」


「許さないから…!!」


「どうぞどうぞ。やれるものなら。」


天海さんが怒鳴るなんて。涼しくかわしているお隣は誰なんだ。


天海さんはなんとか言おうとしていたが、やがて諦めて走っていった。…俺と反対方向に。


「そこ、」


鋭い声が上がる。


「誰かいるのでしょう?」


「っ!」


(バレてる…!)


「出て来なさい。」


その声に俺は廊下の角からそろりと顔を出した。
比嘉中のジャージの眼鏡さんだ。印象深い訛りの、部長の木手さんか。


「す、すみません…」


「ふん…どこから聞いていたんです?」


眼鏡の奥の厳しい目が俺を捉えて、俺はぴしりと固まった。
俺はごくりと喉を鳴らして考える。
こういう時は一応正直に話した方がいいだろ…!


「……こっちに用事があって通ろうとしたら、言い争う声が聞こえたので…天海さんが走っていくくすぐ前に来ました…」


木手さんはそういった俺をじっと見る。

少しの沈黙の後、木手さんは眼鏡を指で押し上げてため息をついた。


「…まあ、嘘はついていないようですね。それで用事というのは?こちらには我々の部屋しかありませんが。」


「俺、明日の担当の加賀Aです。明日のことを報告しようと思って部屋に行く途中だったんです。」


「なるほど。では一緒に行きましょうか。
……話をしながら。」

世話焼きも手を焼くーその32→←世話焼きも手を焼くーその30



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (75 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
146人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» おかえりなさい!今夜はいっぱい更新するつもりなので、是非旅行疲れの一服にでもどうぞ! (2018年4月13日 21時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - 修学旅行から無事帰れました!沢山更新ありがとうございます! (2018年4月13日 21時) (レス) id: 1e0ae13ebb (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - ●RECさん» にふぇーどー!そうです新学期です…!忙しくなると更新速度が落ちるかも知れません、申し訳ない…! (2018年4月11日 7時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
●REC(プロフ) - 比嘉中でーじさいこうさぁー 新学期?新生活?頑張ってくださいね! (2018年4月11日 0時) (レス) id: df969a8ec2 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ありがとうございます! 楽しみにしています! (2018年4月10日 13時) (レス) id: 4bd1cfe4c2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年4月6日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。