世話焼きも手を焼くーその31 ページ39
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ぱたん。
仁王先輩の部屋の扉が閉まる。
嫉妬か……嫉妬?ないない、絶対ない。
と思っていても仁王先輩の言葉は頭を離れてくれない。
歩けば歩くほど、いや実は嫉妬だったんじゃないのか?という気持ちになるので、走って部屋に向かった。
「う、う、」
「おやA君、どこに行っていたんです、そろそろお風呂に…」
「うわぁあああああ!!!」
俺が叫びながらベッドにダイブ。観月さんはぎょっとして持っていた着替えを落とした。
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「…ふぅ。」
風呂上がり、マネージャー用ノートを持って明日担当の比嘉中の部屋へ向かう。
青学の所の大石さんには途中で会ったので、部屋まで行く手間が省けた。
これを渡したらさっさと部屋帰って寝よ。
そう思って歩いていると、
「…デジャブ。」
天海さんの声が聞こえる。何か言い争っているようだ。俺は今度こそひっそりと様子を伺うため、耳栓を片方外した。
「っ、そんなこと!!していいと思っているの!?」
「ええ。まぁ別にいけないことをしたのは貴方ですからね。」
「許さないから…!!」
「どうぞどうぞ。やれるものなら。」
天海さんが怒鳴るなんて。涼しくかわしているお隣は誰なんだ。
天海さんはなんとか言おうとしていたが、やがて諦めて走っていった。…俺と反対方向に。
「そこ、」
鋭い声が上がる。
「誰かいるのでしょう?」
「っ!」
(バレてる…!)
「出て来なさい。」
その声に俺は廊下の角からそろりと顔を出した。
比嘉中のジャージの眼鏡さんだ。印象深い訛りの、部長の木手さんか。
「す、すみません…」
「ふん…どこから聞いていたんです?」
眼鏡の奥の厳しい目が俺を捉えて、俺はぴしりと固まった。
俺はごくりと喉を鳴らして考える。
こういう時は一応正直に話した方がいいだろ…!
「……こっちに用事があって通ろうとしたら、言い争う声が聞こえたので…天海さんが走っていくくすぐ前に来ました…」
木手さんはそういった俺をじっと見る。
少しの沈黙の後、木手さんは眼鏡を指で押し上げてため息をついた。
「…まあ、嘘はついていないようですね。それで用事というのは?こちらには我々の部屋しかありませんが。」
「俺、明日の担当の加賀Aです。明日のことを報告しようと思って部屋に行く途中だったんです。」
「なるほど。では一緒に行きましょうか。
……話をしながら。」
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木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» おかえりなさい!今夜はいっぱい更新するつもりなので、是非旅行疲れの一服にでもどうぞ! (2018年4月13日 21時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - 修学旅行から無事帰れました!沢山更新ありがとうございます! (2018年4月13日 21時) (レス) id: 1e0ae13ebb (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - ●RECさん» にふぇーどー!そうです新学期です…!忙しくなると更新速度が落ちるかも知れません、申し訳ない…! (2018年4月11日 7時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
●REC(プロフ) - 比嘉中でーじさいこうさぁー 新学期?新生活?頑張ってくださいね! (2018年4月11日 0時) (レス) id: df969a8ec2 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ありがとうございます! 楽しみにしています! (2018年4月10日 13時) (レス) id: 4bd1cfe4c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:木こりのコロポ | 作成日時:2018年4月6日 21時