検索窓
今日:4 hit、昨日:0 hit、合計:70,592 hit

ページ31

 
 
 
 
―――
――――――
――――――――――――

イヌの塔、地下牢。
その中でカリンはガシャン、という音を聞いた。
目を向ければ。

「お、鬼ヶ崎さん〜〜···!!」
「よ、お待ちどうさん」

泣きながら檻にすがり付いて、カイコクの名前を呼ぶ。
やってきた彼の背中の上にはぐったりとしたアカツキが。

「今開ける」
「うん···! うん······」

アカツキに気がついて、カリンは神妙な顔つきになった。
鍵を開けながらカイコクは言う。

「安静にしてやんな。たぶん折れてる」

そこで鍵がカシャ、と開いて檻が開いた。
嬉しそうに少女たちがわらわらと出てくる。
最後にカリンが出て、牢屋はからっぽになった。

「嬢ちゃん。霧ヶ野は?」

カイコクが問いかけるとカリンは途端にまた泣きそうな顔になる。

「レオさんは······まだあいつのところに······っ」
「鬼の嬢ちゃんか」
「レオさん、私に言ったんです。自分自身のことだけ気にしてくれって。
 レオさんのことは気にしないでほしいって。
 私のためにあいつのご機嫌取りして······」

涙がどんどん盛り上がり、雫となって落ちる。
カイコクの背中でアカツキが動いた。

「レオさん······無事なんでしょうか」
「入出、起きたのかい」
「はい。ありがとうございました。もう大丈夫です」

よっ、と言って背中から降りる。
また口を開いた。

「レオさんは無茶ばっかりする人です。もしかしたらまた無茶を······」
「俺ァお前さんは人のこと言えねェと思うけどな。
 まあそれは俺も同感だ。捜しに行った方が良いだろうな」

そこまで言ってふいにカイコクは身構えた。
威圧感のある声を発する。

「誰でェ。さっさと出てきな」
「······俺だ、鬼ヶ崎。すまない。遅くなった」

扉の影から出てきたのはザクロ。まだ顔色は良くないが、随分落ち着いたようだ。

「なんでェ忍霧かい。ステルスはやめてくんな。前も言ったろ」

番傘を肩に寄せてハァーと溜め息をついたカイコクは、改めて表情を引き締める。
 
 
 

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (44 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
89人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

花藺 - 霧神廉さん» ひ、久々に覗いたらこ、コメントが・・・。本当にごめんなさい。そしてありがとうございます。待っててくださいね!頑張ります! (2018年3月21日 22時) (レス) id: 78c6e1698f (このIDを非表示/違反報告)
霧神廉 - 更新停止は寂しいですが、僕はいつまでも待ってます! (2018年3月10日 22時) (レス) id: cff83fd718 (このIDを非表示/違反報告)
花藺 - 霧神廉さん» 嗚呼、なんてありがたいお言葉・・・っ!頑張ってきてよかった・・・。これからも頑張ります!o(`^´*) (2018年2月14日 20時) (レス) id: 60a7600913 (このIDを非表示/違反報告)
霧神廉 - 面白いです。更新頑張って下さい! (2018年2月14日 20時) (レス) id: 957f042b23 (このIDを非表示/違反報告)
花藺 - 名無しの猫さん» あああありがとうございますぅぅぅ!これからも更新頑張ります!応援よろしくお願いいたします! (2018年2月12日 13時) (レス) id: 60a7600913 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:花藺 | 作成日時:2018年1月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。