Juri ページ23
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微かなバニラの香りと、カラカラと何かが空回る音がして意識が浮上した。隣で眠るはずの体温がなく、キョロキョロすれば、窓際に見つける。
トンッと軽やかにベッドから降りて、丸まった背中に抱きついた。
「さむい」
樹「...ん？起こしちゃった？」
そんなこと言って、この男はわたしのことをわざと起こした。いつもはこうして1人で煙草を吸っているってのに、わたしを起こしたくなった日だけ、わざわざあの奇怪な音を立てる換気扇を回すのだ。
「隣に樹がいないから目が覚めちゃった」
樹「ごめんごめん」
そんなことを見透かしていても、口に出したりはしない。だってそんなことしてしまえば、この男はわたしをあっさり捨てるから。
樹「なあ」
「...うん？」
顔を覗き込めば、私の行動を知っていたかのように顎を攫われて唇を重ねられる。おもむろに鼻をつままれて自然と口が開くと、樹が吸っていたであろう煙草の煙を流し込まれる。
「ｹﾎｯ...ｯ、ｹﾎｯｹﾎｯ...殺す気!？」
樹「大丈夫でしょ。多分」
１度も煙草を吸った事のない私は口内に残る煙に戸惑い、思いきり噎せてしまった。
「そんな、適当なこと言って...！」
言葉を紡ぐ度に、ほろ苦さを含んだバニラの煙に包まれることに慣れなくて顔を顰める。
樹「一緒に吸いてぇな？」
「やだよ」
吸ってることを咎める気はないけど、私も吸う気は無い。
樹「お前は俺に弱いからいつか吸い始めるよ」
妙に説得力があるから末恐ろしい事を言うのはやめてほしい。
ふうーっと煙草の煙を顔に吹きかけられる。...ああ、これは。
「酷くしてもいいよ」
樹「珍しいじゃん。どーゆー心境？」
「ただの気分」
樹「じゃあ気分が変わんない内にシようか」
早急にベッドに押し倒されて、解されていないそこに熱く屹立したモノをねじこまれた。
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作者名：ミヤ | 作成日時：2023年6月17日 16時
