ゲレンデマジック。 takahiro.H ページ4
濱ちゃんとスノボをしに、ゲレンデまでやって来た。
彼も忙しいから、日帰りの弾丸ツアー。
急に取れたオフの日に翻弄されることも多いけれど、それももう慣れた。
ゲレンデは雪用ゴーグルやら帽子やらで顔が隠れてまうから、遊ぶのにええねん！と、
ただでさえ細い目を更に細くして笑う。
私は元々運動できないから、急斜面を、雪を舞わせて颯爽と滑る彼を時々羨ましく思ったりもする。
スノボを出して準備してるとき、彼はある提案を出した。
「今回は、Aも滑ってみいひん？なぁ、どぅや？」
「私？いや、いいよ、足手まといになっちゃうし。」
「大丈夫やって、俺が教えたるから。
借りてくるから、ちょっと待っとって。」
彼は、スノーウェアを着る私を置いてレンタルのところへ行き、
少しして、少し小さめのスノボを持って戻ってきた。
不安げな私の顔を見る。
「やってみたら絶対楽しいと思うで？」
彼は片手でスノボを二つ持ち、もう片手で私の手を引いていった。
白く覆う雲に舞う粉雪。
平日とあって、シーズン中でもいる人は限られている。
慣れた手つきで自分のスノボをセットすると、私のをセットした。
そこでまっとるから、と緩やかな坂を、片足のまま滑って端で止まる。
「えー…」
と言いつつ、私は腰が引けてるまま、意を決して坂道を滑り出した。
「お、行けとるやん！大丈夫、そのまま体制崩したらあかんで！」
と叫ぶ濱ちゃんの声も聞こえるが、私にはそんなの構ってる暇なんか無い。
幸い、転ぶことは無かった。
でも
私には方向をコントロールする力も無かった。
「濱ちゃんぶつかるー！」
彼に向かってまっしぐら。
細い目を見開いてこちらを見つめて
そのまま近づいて…
バフッ！
ふかふかな雪の上に、私は濱ちゃんに重なるようにして倒れこんだ。
そんな体勢のまま、二人は見つめあう。
そして、揃って大声で笑いだした。
「ねぇ、今度は上までつれてってよ！」
「面白なってきた？」
「うん！」
あの頃に戻ったように、二人は無邪気に笑った。
━━━━━━
およそ１か月後。
月刊誌には彼が居た。
そういえば、あの日の翌日に取材があったんだっけ。
うっすら雪焼けした笑顔の彼は、こう言っていた。
「最近スノボの楽しさをやっと伝えられた人がおるんよ。 やってみたら、飲み込みが早くて、ジャンプ台も軽く使える様になったくらい。 一緒に技を決められるように俺も練習せなあかんな。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
サリィ(プロフ) - も え 。さん» いや…恋愛がスランプです...すみません... (2016年1月26日 21時) (
レス) id: 1534304de2 (このIDを非表示/違反報告)
も え 。 - サリィさん» ありがとうございます！楽しみに待ってます！ (2016年1月16日 16時) (レス) id: 9bb1b4e05b (このIDを非表示/違反報告)
サリィ(プロフ) - も え 。さん» ありがとうございます。書かせて頂きます！ (2016年1月15日 20時) (レス) id: 1534304de2 (このIDを非表示/違反報告)
も え 。 - これからも応援してるので、更新頑張って下さい！ (2016年1月15日 17時) (レス) id: 9bb1b4e05b (このIDを非表示/違反報告)
も え 。 - リクで、神宮寺勇太くんか岩橋玄樹くん（←サリィさんが書きやすい方でいいです）で、アイドルと一般人の恋愛が見たいです！あとはお任せします。できたらお願いします！ (2016年1月15日 17時) (レス) id: 9bb1b4e05b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：サリィ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/lisasully1/
作成日時：2016年1月9日 21時
