モノガタリ 基ノ百四十二 ページ7
そらるside
歌「ねぇ、Aくん、」
歌詞さんが意を決して口を開けた。いつになく真面目な顔で話す歌詞さんに、首を傾げるAくん。
歌「教えて欲しいんだ、君のことを。」
言葉の意味を察したらしく、不安そうな表情を浮かべる。ああ、この表情、これで何回めだ。
『っAくん、』
桐「良いですよ、大丈夫です。」
「嫌だったら止めていいんだよ」と言おうとした声を遮って、話し出したAくん。
桐「落ち着いた時に話そうと思ってたんですけど、話し出す勇気がなくて。でも、ちゃんと向き合って、言おうと思います。」
「聞いて、くれますか?」と眉を下げて笑った。各々が強く頷く。
桐「じゃあ、あの日の話の続き、しましょうか。」
桐「センラさんから聞いていると思いますが、俺は第一研究所の被験体です。」
聞いてはいた。が、本人の口からいざ言われると、それがどんなものなのか、どれだけ重いのか、改めて思い知らされた。
桐「皆さんが聞きたいのは、その事ですよね?」
また、各々が強く頷く。再び悲しそうに笑って、「分かりました」と、一言。
セ「じゃあ、まずは俺から。君は、何の研究によって生まれた研究産物なの?」
桐「俺は、特異契約の実験のために造られました。」
『特異契約?』
桐「はい。俺が久遠と結んだ契約は、元の術式とは違うでしょう?」
ま「確かに、Aくんが、被支配側に当てられてるよね。元のものとは真逆だ。」
桐「まふまふさんの言った通り、俺は被支配側。術式の変換をすることで、強力な吸血鬼の力を、間接的に人間にも扱えるようにしたんです。」
そう言いながらAくんは、複雑な顔を浮かべ、首元の契約跡にそっと触れた。
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歌波@こたぬき - とても面白いです!私も抑うつの症状が少し出ているので、烏滸がましいながらもわかります。体に気をつけて更新、頑張ってください! (2019年9月9日 18時) (レス) id: b72e644e8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:零ノ使徒 | 作成日時:2019年6月29日 11時