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Jisung side
ぼくの前を揺れる綺麗な黒髪をただただ目で追いかける。
デビュー当時から比べると長くなった前髪は横流しにされていて髪はゆるく1つに結ばれている。
こんなに緊張していて変な汗すらかいてきそうなのにヌナと言ったら「どうしてこの階にいたの？」「今日はダンス練習？」
「会社のカフェに新発売のケーキが出たんだって」などと今までぼくが抱いていたイメージとは全くもって異なるほどよく話してくれる。表情はみえないけど。
「よく、話すんですね」
『え、？』
「あ、」
どうしよう。ヌナはなんの話をしていたんだっけ。
買ってくれたジュースを受け取り口から持ち上げ、目を丸くしたヌナと目が合った。
『ごめんね嫌だった？』
「あ、違くて。その...人見知りだって知ってるので」
ぼくがそう言うとヌナはまた驚いた表情をした後、恥ずかしそうに微笑む。思わずごくりと喉を鳴らしてしまった。
溶けるように優しく笑う顔があまりにも綺麗で。この人のこういう表情にはやっぱり当分慣れそうにない。
『うん、人見知り...だけど、チソンアと話せるのが嬉しくて頑張って話しかけてた』
さっきまで下を向いていた瞳がしっかりとぼくを捉える。
ヌナの綺麗な黒目にはぼくだけが映っていて、ヌナの言葉も相まって動けなくなってしまう。
...ずるい人だ。ヌナの言葉ひとつでこんなに心臓がうるさくなるけどヌナはそれを全然分かってない。
ぼくが固まったままでいると窓に視線を移したヌナの顔が少し曇って「雨降ってるね」と言う。
そうだ、送って...はあげれないんだ。ダンス練習あるし
「...！あ、のぼく傘持ってきてるので使いませんか、」
『え、いいの...？でもチソンアは、』
「大丈夫です！！今日はマネヒョンが送ってくれるので」
完全に勢い。傘なんて持ってきてないしマネヒョンに送ってもらえるってのもウソ。
傘はジェノヒョンのでも借りよう。それでジェミニヒョンに帰りは入れてもらおう。
これはヌナともう少し話していたいって言うわがままだけどたまにはいいよね。
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作者名：つき
| 作成日時：2022年6月24日 22時
