名前のない関係─CM (ページ46)

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「ごめん、便所！」

「だからライブ前に行っといでって言ったのに・・」

「わりぃ」

トイレに駆け込んだタカシを待っていると

「あ、ここにいた！」

「ユ、ユノさん！？」

「連絡先、聞かないまま帰っちゃったから・・」

「すいません、急用で・・チャンミンにもよろしくお伝えください」

ユノさんはなんだか温かい目で笑っていた。

「よかったー」

「え？」

「チャンミンから話を聞いた時にちょっと大丈夫かなって思ったんですけど・・
　すごいいい人そうだから・・Aさん、よろしくお願いしますね」

「えー・・・っと？」

「チャンミンのことで困ったら連絡してくださいね！はい、連絡先交換しましょう！！」

有無を言わさないユノさんに言われるがまま連絡先を交換して私たちは会場を後にした。

「ねぇは・・楽しかった？」

「ん？・・・楽しかったよ」

「そっか、ならよかった」

気づかれたかもしれない。
でもきっとタカシはそっとしておいてくれるんだろうな。
そんな風に思いながら何も考えないようにして家路についた。
ステージのチャンミンも
楽屋でのチャンミンも
綺麗な女の人に囲まれるチャンミンも・・・
偽彼氏のチャンミンも

近いようで、遠いんだ

『きょうはありがとうございました。おつかれさまでした。しゃしんおくりますね』

ひらがなだったらわかるかな？とユノさんに送ったメッセージ。
チャンミンにはきっとタカシが送ってくれる。
チャンミンの連絡先さえしらないんだな、私・・

チャンミンと写る写真
初めて客観的に見る私たちに苦笑いをした。

「嘘みたい」

東方神起と私
現実味がなさ過ぎて
笑ってしまった。

チャンミンがこの写真を見ることはあるんだろうか？
この写真を見てひきつった私を
からかうことは・・あるんだろうか？

チャンミンの傍にいた綺麗な子達を思い出して
チャンミンと写ったの写真を
もう見たくないとそっと閉じた。