名前のない関係─CM (ページ45)

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「チャンミン、3人で撮ってあげるよ」

ユノさんが言うと私の携帯を取り上げてユノさんに渡した。

「ちょっと・・」

「さっ、とりましょうかー」

「わ、私はいいから」

「往生際が悪い！」

タカシにもチャンミンにもグッと肩を掴まれ真ん中に寄せられる。

「ハイチーズ、ハハハAさん笑ってー！」

おどけてみせるユノさんが可愛すぎて笑ってしまった。

「じゃぁ今度はユノさん、Aと撮ってもらっていいっすか？」

「え？タカシ？！」

何を言いだすんだこの子は！

「チャンミンも！ファンなんだろー？囲まれとけよー」

「無理無理無理無理！！」

「いいからいいから」

「せっかくだから！ぜひ！」

「顔真っ赤ですけど」

爆笑してるチャンミンを睨むに睨めない。
不思議な感覚だった。
多分現実として受け入れられてない。
写真を見ても合成だと思えてしまう。
憧れだった人が隣にいる感覚。

一通り写真を撮り終えるとユノさんが話しかけてきた。

「僕も欲しいから送ってください！」

「じゃぁ、タカシに送るんで・・・」

「連絡先・・あっ、あれ？携帯・・」

人の話を聞いていないのと連絡先交換しようとしているのにびっくりする。

「バッグにいれたままでしょ」

チャンミンがそう言うとファン心理でフフ、と笑ってしまった。

「あ、そうだった！ちょっと待っててね、あれ？チャンミンも呼ばれてない？」

振り返る先には・・可愛い可愛い女の子集団。

「あー・・行ってきます・・。ちょっと待っててください」

「え？ちょっと！」

いきなり2人が居なくなってポツンとタカシと2人きり。
なんか視線も痛い。
どうしてお前らが・・的な。
ひねくれた考え方かもしれないけど。

「あれ？あの子ってCMに出てるよな？」

チャンミンが向かった先にはモデルやら女優やら・・
なんかすごい絵になるなぁ・・
キラキラして眩しい。
なんだ、私・・
何モヤモヤしちゃってるんだろう。
言いたくもないし考えたくもない
チャンミンに失礼だと思うけど・・
世界が違う。
キラキラしてる、チャンミンの世界は・・

「帰ろっか」

「え？」

「ごめん、用事思い出した」

タカシの前で空元気も出せない。
それに気づいたのかタカシは素直にわかった、といった。