こういうの・・ ページ14
『ピンポーン』
「はいはーい」
タカシの家でパスタを作っていた私はチャイムの音に玄関に向かう。
「お、今日は早いんですね」
ドアを開けると私を見下ろすその顔が思ったより近くてびっくりした。
「あー・・とりあえずあがって」
「おじゃましまーす」
律儀に靴を揃えるしゃがんだ姿がなんとも愛らしい。
「タカシ、急用らしくて・・携帯、繋がんないって」
久しぶりのチャンミンに言葉がおかしくなるほど舞い上がってしまっている。
「あ、電源切れてる・・」
チャンミンと3人で飲もうと言われたその日、タカシは好きな女の子に誘われたらしい。
どうしても今日決めたい、そういうタカシにがっかりした。
楽しみにしてたのに。
そう思う私はアドレス帳をスクロールする。
この2ヶ月、飲み会という飲み会に参加して、1人で飲みにも行って出会いの窓口を広げてきた。
でも、会いたい・・そう思う人は現れなかった。
飲みに行こうって言ってた人いたっけ・・
そう思ったらまたタカシから連絡がきた。
『チャンミンに連絡とれない
鍵渡すから俺の部屋開けといてくれない？』
それで今に至る。
「タカシ、デートなの？」
「そうみたいよ、今夜決めるって張り切ってた」
「そうだと思った(笑)」
タカシはチャンミンとそういうやりとりもできるんだ。
大きなバッグの中から取り出した充電器を繋げた携帯を睨んだ。
私は連絡先すら知らないのに。
「今日はなんですか？」
「パスタ、もうちょっとでできるから。カルボナーラだけど」
「うまそうですねー」
お腹ペコペコで・・というチャンミンは既に寛いでいる。
パスタを食べながら近況報告をする。
日本にいるのは3週間、レコーディングだから時間が読めないとのこと。
たわいもない話をしていると3ヶ月という時間があっという間に埋まっていく。
あっという間に弟のようなチャンミンになっていく。
「そういえば」
「え？」
「彼氏、探し始めたって」
「あー・・うん」
「魅力的な男がここにいるのに・・」
タカシから聞いたであろう情報を冗談で言ってくるチャンミンに私は苦笑いをした。
「いい人、いましたか？」
「うーん・・」
その時私の携帯がなった。
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作者名：Lip | 作成日時：2018年2月15日 0時
