名前のない関係─CM (ページ12)

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お皿を片付ける私はどことなくまだ気まずい。
現実が押し寄せてきてるようで辛い。

「A」

「あ、いいよ？私やるから」

「Aはぶりっこ、ってやつですよねー」

私の言うことも聞かずお皿を拭いているチャンミン

「いやいや、ないから」

「だって男と女性の前では態度が違うんですよね？」

「そういうわけじゃ・・」

「あー僕一応キャーキャー言われてるんですけどぜんっぜん態度違うくないですよねー」

はぁ、とわざとらしい溜息をついているチャンミン

「そんなに魅力ないのかー俺」

演技下手くそか！と突っ込みたくなるけどなんでだろう、嘘はつけないこの感じ。

「そんなことはない、と、思いますけれども・・」

ニヤリと笑ったチャンミンは顔を寄せてくる。

「へぇ～魅力ありますか～そうか～！」

「手を動かして、手を！」

「こんなに魅力的な男がそばに居たら恋愛するの難しいかもしれませんね～」

「何言って・・」

「恋愛なんてタイミングですよ」

あぁ、この人は・・

「ま、そうだよねー」

合コンと言われてよぎったのはチャンミンのことと
めんどくさい、と思ってしまっている自分
恋愛に一歩踏み出せない自分がいることに現実を突きつけられた気がした。
チャンミンとのことも、多分私はありえないとわかっている。
だからこの感情やこの関係を楽しめてるんだ。
もし現実的になったら・・足がすくんでしまうんだろうか？

「A？」

「ん？」

「手が止まってる」

「あ、ごめん」

「まったく、僕が魅力的だからって」

「まだ引っ張る！？そのネタ！」

恋に臆病になってる私に気づいたんだろうか？
自分が魅力的だからと言い訳をすればいい。
そう言ってくれてる気がして
その優しさだけで充分だと思ってしまった私は・・
曖昧な気持ちにとりあえずふたをした。