名前のない関係─CM (ページ21)

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「すみません、お気遣いいただいて・・ごめんなさい・・」

「A、もう大丈夫？ね？」

コツンとぶつけられたおでこに声も出なかった。

「Aさん、事情も知らず・・私がやきもちやいてしまったばっかりに・・」

「い、いえ・・こちらこそ・・」

こういうのが精一杯だった。
ひきつってるわ、私女優には絶対なれないな・・。

ピンポーンとチャイムがなり、現実に引き戻された。

「きっとタカシです。あなたとケンカしたのがショックだったのか携帯も鍵も忘れてしまって・・」

チャンミンが言うと彼女は申し訳なさそうにドアをあけた。

「ミア・・ちゃん・・？」

「タカシくん・・」

ついていかない頭のまま、なんだかホッとしていた。
ふとチャンミンを見ると幸せそうに微笑んでいた。

「2人で話しなよ、俺たちは・・」

「あっ、せっかくお2人で会えたんですよね？タカシくん、少し散歩・・しようか」

「そ、そうだな・・」

彼女に促されるままタカシは部屋を後にした。

「・・・チャンミン」

「話そうと思ったら彼女が来たから」

とっさに出てきた設定でもなく
私とのことを疑っている彼女にチャンミンの彼女だとごまかしてしまえ！という作戦だったということに気づく。
じゃなきゃ説明もなしにタカシを外に出すはずがない。

「疑われるよりいいじゃないですか、タカシのためです」

「まぁそうだけど・・・」

なんとなく腑に落ちない。

「Aは彼氏作るんでしょー？そうしたら別れたっていう設定でいいんじゃないですか？」

「まぁ、そうだけど」

「早いとこ作るんですよね？そしたらもうここに来ないんですよね？」

まぁできないんでしょうけど……とでも言いたそうなチャンミンの言い方にカチンときた。

「彼氏の一人や二人、すぐに作ってやる！！早く別れてやるこんなやつーー！！」

「フフフ、簡単に別れられるかなぁ～」

肩を組んでくるチャンミンに反抗すると引き寄せられ両肩を後ろから掴まれた。

「気に入ってるんです、この空間」

「え？」

「ホッとするから」

言葉足らずだけど、わかってしまう。
顔を見なくても想像がつく。

「しょうがないから、もう少しだけ責任もってやるか」

耳を真っ赤にさせながら、もう少しそばに居てというチャンミンが愛おしくてしょうがなかった。
肩に乗った手をポンポンと叩いてふんわりと手を置いた。